セピア色の彼女
勝利だギューちゃん
第1話
高校時代、好きな女の子がいた・・・
正直、美人ではなかったと思う・・・
でも、いつも明るくて、彼女の笑顔を見るだけで、
僕の心は癒された・・・
そして、想いを告げる事はなかった・・・
それでいいと思っている・・・
なので、この想いは、青春の一ページとして・・・
心のアルバムに・・・封印した・・・
もう会うことはないだろう・・・
いや、会わないほうがいい・・・
今、彼女がどうしているのか、わからない・・・
ただ幸せであることを、祈っている・・・
そして、気が付けば彼女は、セピア色になった・・・
高校卒業から、10年経った・・・
当時の同級生たちは、結婚した人もいる。
ぼっちだった僕は、招待されていないが・・・
まあ、招待状がきても、欠席していたが・・・
10年経つと、いろいろ変わるものだが、
僕は、人間的には全くの成長がない・・・
昔も今も、下を向いている。
上はもちろん、前すら向かない・・・
夢を見た・・・いや、幻か・・・
「・・・くん・・・くん」
「・・・君は?」
「久しぶりだね、元気だった?」
口調からすると、あの子には間違いない。
でも・・・
「私の顔は見えないんだね」
「・・・うん・・・どうしてわかる?」
「君は、私の顔を覚えていなんでしょ?」
「うん」
「そのせいよ・・・」
確かに顔は覚えていない・・・でも、おぼろげでもいい・・・
見てみたい・・・
「今は無理・・・でも・・・」
「でも?」
「君は相変わらずだね?」
「どういうこと?」
「考え方が、下向きってこと」
その通り、僕は下向きだ・・・
「昔から、君は自分に自信がなかった」
「・・・そのとうり・・・だ・・・」
「私、待ってたんだよ。君から、声を掛けてくれえるのを」
「嘘・・・だよね?」
「本当よ・・・」
さすがに、信じられない・・・
「私はね、君が思っている程、明るくない」
「えっ」
「ただ、とても寂しがり屋なの・・・いつも、誰かにそばにいてほしい」
「だから、明るく振る舞っていたの・・・」
「本当?」
「本当の私は、君と同じ類の人間・・・」
そう言わると、言葉が出てこない・・・
「私は自分を偽った、でも君は自分を偽れなかった」
「偽っても、ぎこちなくなるからね・・・」
「それでも。私は君を尊敬していた・・・」
言葉が出てこなかった・・・
「最後にお願。今のままの君でいて・・・
ただ、少しでいい、自信を持って、そうすれば素敵になれるから・・・」
「僕には・・・出来ない・・・」
「私が保証する・・・」
しばしの沈黙が流れる・・・
「ところで、顔は見せてくれないの?」
「うん、見せない・・・」
「どうして?」
「君の記憶の中に残っている、私でいたいから・・・」
気が付けば、机をマクラに寝ていたようだ・・・
やはり、夢か・・・
彼女は今、どうしているのかは、わからない。
ただ、僕の潜在意識が、無意識のうちに、彼女を呼び寄せたのだろう。
そう思う・・・
セピア色の彼女 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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