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     素晴らしいですねえ。
     もしも安良巻さんが画家だったら、たぶん私絵のコレクターになってると思います。

     小蠅がほくろに見えた個所で一気に異世界に引き込まれたようなような眩惑を感じました。

     浮世絵じみた窓からの景色の描写も魅力的です。「たぶん、あの男には、背中しかない。向うを向いている側の面には、顔はおろか、模様も、凹凸もない」の一節を読んで、
    「ああ、そうだった。私はそのこと知っている。そして今までそのことを忘れていたことも、思い出したことも恐ろしい」と感じました。

    作者からの返信

    ありがとうございます。知っていたこと、忘れていたこと、思い出したことの恐ろしさ…というのがまさに、私自身が大好きな内田百閒の諸短編などを読んでいつも想う「夢の美しさ」で、僅かなりそういう気配を感じ取って頂けたことが嬉しいです。

    編集済
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    全編にわたる丁寧な描写の中でも、何かの鳥の群れが手拭いの生地にあるような模様を作っているとの一節を特に魅力的に感じた。

    作者からの返信

    ありがとうございます。手ぬぐいの模様の狭い空間に切り取られ単純化された世界には惹かれるものがあります。短い言葉に情感ともののあわれを込め、余白に無限大の物物を住まわせる俳句や短歌とも通じるところがあるのかもしれません。