彼岸のあやかし【西獄牢解譚】

早瀬

序章 暁の夜明けに願った終焉

 月が顔を隠し、太陽が顔を出す。


 そんな光景がやわな実体を有して見られるのもこれで最後、か…


 思えば、これまでの出来事はあの月や太陽からしたらほんの些細な、大したことない一瞬の出来事であったのだろう。


 でもこちらからすればあれほどまでに人を愛し、人を憎み、人でなくなり…

 人と出会い、人を知り、人と別れた出来事は今後ないのだろうと思える。


もっとも、今後も何も、ようやく死して黄泉の国にお世話になろうというのに未来はないだろうが。


しかし、まっこと酷な話だ。


俺が死んで、ちとばかしあやかしが減ったってだけで、でっけぇ世界一つ丸々消し去ろうとしてるんだからな。

誰が企んでいるかはわかっているが…

まあ良い、後々明らかになろう。


そしてそろそろ奴らも動き出すのだろうな。


 あいつらがこの時代でどうなるかは、そらからゆっくり見させてもらうとしよう。



 1人のあやかしとして。

 そして、1人の×××として。

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