第44話 うそでしょ!?
職人ギルドから脱出したのはいいけど、路頭に迷いそうです。
職人兼商人って言っても、実質製造業みたいな俺には原材料の仕入れが出来ないと売り物も無いわけで……
商人ギルドで適当な物を換金して仕入れればいいんだろうけど、足元を見られるのは確実。
職人ギルドに行きにくい状態で材料を仕入れたとしても、果たしてそれを使って作ったものを販売していいのかすら確認できていない。
あーーー!もうっ!
めんどくさいから考えるのをやめた。
とりあえず職人ギルド前で姿を消してスタンバイ。
さっきの受付のおばちゃん以外にスタッフらしき人がいないか観察する。
出来ればあのおばちゃんより上の立場の人だと、おばちゃんを抑えておけるかもしれない。
しばらく入り口付近で様子を見ているが、ほぼ誰も通りかからない。
1人だけ魔法ギルドの職員らしき人が依頼一覧らしきものを受け取って出て行ったぐらいだ。
職人だから、基本は家や作業場で物作ってるんだろうな……
それから夕日が沈みそうになるころ、1人のおっさんが近づいてきた。
街の人から、「おっ!マスター帰りかい?」とか言われている。
この人が職人ギルドのギルドマスターなら、あのおばちゃんを叱ってもらおう。
どこかのバーのマスターなら、小粒の宝石で飲ませてもらえないか交渉しよう。
そう考えていると、俺の目の前を横切り、職人ギルドに入っていった。
よし!よしよし!よしよしよし!
このおっさんが職人ギルドのマスターだ!
ワンチャンあるぞこれ!
「あら、お帰りあんた。」
「おう、ただいまだぜハニー。」
はい、終了です。
この街でまっとうな職人として生きるのはもう無理です。
オーケーオーケー、俺に力以外の解決方は無かった。以上。
オッサンの後ろから続いて中に入る俺。
「あ、あんた!そいつ捕まえな!!!」
俺が視界に入るやいなや、すぐにギルドマスター兼夫と思われるおっさんに指示するおばちゃん。
その反応速度は流石だと言わざるを得ない。
……俺が相手じゃ無かったらな!!!
「あん?このひょろいの捕まえりゃいいのか?」
そう言いながら手を伸ばすおっさん。
その手を即座に掴んで、そのまま背負い投げで床に倒すと、首に足を乗せて抑え込む。
「おいおっさん、てめぇ豚飼うならしつけしっかりしろウホ。」
自分で思ってたより汚い言葉出ちゃったウホ。
流石に我慢の限界だったようです。ごめんなさい。
「ぶ、豚だと!?てめぇそれはハニーの事言ってんのか!!!」
流石に怒ったのか、予想外の力で暴れ出すおっさん。
……そしていくら暴れても一切抜け出せないおっさん。
徐々におっさんとおばちゃんの顔に汗が浮かび、顔色も悪くなっていくのだった。
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