第10話 最初のたたかい
んんん……
あれ?ここどこだろう…?
……私は誰?
一人の少女がゆっくりと起き上がる。そしてふと周りを見回す。
…………なんだろう…?あれ……
とある一点で目線を止める。大きくて黒い“なにか”がこっちを見ている。
本能でわかる……あれは敵だ………
“なにか”がこっちに歩いてくる。自分の10倍以上もある巨体を揺らしながら。
「逃げなきゃ……」
恐怖で足がすくみ、思うように立てない。
そうこうしているうちにも“なにか”は近づいて来る。もう目の前だ。
“なにか”は、黒い前足をゆっくりを振り上げる。
「あ……ああ……………」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
目標発見!思った以上にでかいな……
まだこちらには気づいてないようだ。とっとと装填しよう。
まずは一番手前のあいつからだ。
APCR(高速徹甲弾)装填。距離500だから…とりあえず2メモリ上に撃つか。
「ジョフロイさん、手を上げたらこの引き金を引いてくれ」
「わかったでち!」
「あと、結構大きな音が出ると思うからしっかり耳塞いで
……
シュダンと心地よい音を立て、砲弾がセルリアンの横腹めがけ飛んでいく。
そして……
「パッカーン!」と軽快な音を立てながら9mの巨体がはじけ飛んだ。石に砲弾が命中したようだ。
「一体目撃破確認!ってあれ?」
ジョフロイネコが白目向いて倒れている。びっくりして気絶したようだ。
「っつ……!うるさいってもんじゃないぞこれ!」
フォッサさんもダメージ受けてる……
動物は人間の数倍の聴覚を持っているからな……
「あと二回だからこれで我慢してくれ…」
車内にあったヘルメットを二人に渡す。ケモミミはこれで保護できるだろう。
こっちが見つかる前にさっさとやらないと…
APCRを装填し、さっきと同じ2メモリ上に照準を合わせる。
深呼吸をし、引き金を引く。
砲弾の軌道は少し下にずれ、セルリアンの足に命中した。
「――――――――――――――――― !!!」
セルリアンは言葉にならないような悲鳴を上げ、崩れ落ちる。
「クッソ、仕留め損ねたか…」
再装填、2.5メモリ上に照準を合わせ、引き金を引く。
足が吹き飛び、動けなくなったセルリアンの石に向かってAPCRが飛んでいき……
「パッカーン!」
命中確認。残り一匹!
「おい、あいつこっち見てるぞ!」
まずい、見つかった!でも見るからに鈍足そうだし…と考えていたら……
最後のセルリアンは、ひざを曲げて…
ジャンプした。
「「え!?」」
えーあいつジャンプできんの⁉てかヤバイ、早く移動しないと下敷きになる!
「フォッサさん、乗って!移動する!」
「あ、ああ!」
エンジンをかけ、アクセルを踏み込む。
何とかして撒かなければ…
あっそうだ!確かスタングレネードがあったはず…!
「フォッサさん、後ろにある灰色の筒とってくれ!」
「え!えーと…これか!?」
「ありがと!あと目と耳をふさいで!」
ピンを引き抜き、セルリアンに向けてスタングレネードを投げる。
キィイン……という音とともに100万カンデラの光が当たりを包む。
セルリアンが混乱しているうちに足の下をくぐり抜け、右ブレーキを目いっぱい引き、砲身を石にむける。
素早く砲手席に移り…
「これで終わりだ!」
引き金を引く。
「パッカーン!!」
ふぃいいい……死ぬかと思った……
戦闘の余韻に浸っていると…
「おい、シグマ!あそこにだれか倒れてるぞ!」
ん?付近にサンドスター反応はないのに……
「……気絶しているみたいだね」
「……ケガしてるかもだな……フォッサさん、ASUに乗せるから手伝ってくれ。」
「りょうかーい」
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