疑心暗鬼

@tokimaru

第1話 疑

「眠れない…」

堀越裕也 15歳 高校入学前日

緊張、不安、いろいろな気持ちがある中で、眠れなくなるのは確かだった。

ふと、枕元に置いてあったスマートフォンをつけてみると、「2:41」と表示されていた。

そのまま、メッセージアプリを起動すると、中学から同級生の空島三月からメッセージが来ていた。

「明日、同じクラスになるといいな!」

グットポーズのスタンプを送った。

「そろそろ寝ないとやばいな… 明日起きれるかな」

そうぼやく。

スマートフォンを閉じようとしたその時、目に留まるものがあった。

「楽しいグループ」

新しいグループに僕が招待されている。どうやら、新入生が入れられているようだが、妙に人数が少ない気がする。

学年だとだいたい150人ぐらいなのに対し、このグループは40人ほどしかいない。

クラスの人数と同じくらいかな?

そう思いながらも、早く寝なきゃという思いに体がついて行ってしまった。

スマートフォンを閉じ、まぶたを閉じる。

三月と同じクラスになりたいな、そう思いながら。


翌日、アラームの音と、母の声で目を覚ます。

6;30くらいか?

スマホを見るとだいたいそのくらいだった。

「眠いなぁ」そう思いながらも、一階に降り、何気なくテレビを見る。

「○○県××市で、吉田真菜さんが昨日から行方不明になっています。」

あ、ここ学校の近くだ。物騒だなと思いながらもパンをほおばる。


「---最近は物騒ですが、昨日も近くで行方不明事件があったそうなので、生徒の諸君は十分に気を付けるように。また---」

校長先生の話長い… 立っているのが疲れてくる。

結局、三月とは同じクラスになれた。

1-Dだった。三月意外に知ってる人はいないな。

まあ、これから仲もよくなってくるだろうし、頑張ろうかな。そんなことを思いながら入学式を終え、三月と一緒に食事に行く。

「お前さ、楽しいグループっていうところ招待された?」

「あぁ、昨日の七時くらいかな。気が付いたら招待されてて、それでクラスの名前と、そのグループに入ってる人の名前を照らし合わせてみたら、全員1-Dだったんだよ。」

「誰がそんなことやったんだろうなー」

そういえば…と思い返す。

クラスの人数は39人に対し、グループの人数は40人だったような…

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