作品紹介のための学生サミット
南木
第1回議題「若者の人間離れについて」
道重開(以下ハル)「今日みんなに集まってもらったのは他でもない! 小説の主人公という立場の学生で昨今の小説情報について議論したい! まず、今日この場は僕が議長を務めるから。反対意見はないよね? というか反対意見なんて認めないよ!」
浅倉アトリ(以下アトリ)「私もそれでいいと思う……」
有栖川妖狐(以下アリス)「もっと自分の意見を言ってもいいのよアトリ! 第一ハルはなんで自分で勝手に決めてるのよ! 私にだって、議長をやる権利あるんだからね!」
浅川祥(以下祥)「じゃあ僕はハルとアリスに反対ね☆」
アリス「どっちよ!」
ハル「ああもう、こうなったら第三者に決断をゆだねるしかないだろう! じゃあそこのお猫様、判定オナシャス!」
ヨゾラ「う~んとね………パスタ!」
(スタッフの笑い声)
奏「あなたたち、真面目にやらないとおやつ抜きよ♪」
×××××××××××××××××××××××××××
ハル「怒られちゃったけど、とりあえずヘタ〇アごっこで、このサミットを見ている女子たちのハートを掴んだところで、始めるとしようか」
アトリ「ええっと…………女性が見るだなんて、果たしてそれはあり得るんでしょうか?」
祥「ここの責任者が責任者だしなぁ……」
アリス「あのっ、結局議長誰がやるんですか? 私やりたい私やりたい!」
アトリ「私もアリスさんでいいと思います……」
ハル「だから君はどっちの味方なんだYO! もうこのさいだから、議長はヨゾラさんで!」
ヨゾラ「ねこですよろしくおねがいします」
祥「記念すべき1回目のサミットの議長が猫って…………しかも喋るし」
ヨゾラ「むむっ、猫が喋って悪い?」
祥「いや、悪くはないけどさ。なんかこう、不思議な感じが……猫又?」
アリス「いえ、ヨゾラさんはきっとマヨヒガ出身の妖猫なんですよっ!」
アトリ「妖猫……? ジバ〇ャン…………?」
ハル「それ以上いけない。というわけで、ヨゾラさんが議長だから、ヨロシク」
ヨゾラ「ぎちょーって何をすればいいの?」
祥「基本的に威張るだけの簡単なお仕事だよ。会議が収拾付かなくなったら『粛清! 粛清!』って叫べばいいと思う」
ヨゾラ「しゅくせー!」
アトリ「もはや議長というより書記長ですねそれ」
アリス「それで、今日は議題に沿った小説紹介みたいなことするって聞いていたんですが」
ハル「そうだね。そろそろ本題に入ろうか。今回の議題はこれ!」
議題『若者の人間離れについて』
祥「人間離れ…………」
アトリ「アリスさんみたいな……?」
アリス「え!? なんでみんな私のこと見てるんですかっ!? 私だって普通のJKですよっ」
ハル「いや、どう考えても、この中で能力的にも物理的にも人間辞めてるのは、アリスさん一択でしょ」
祥「ちなみにハルがアリスさんと闘ったら?」
ハル「闘うも何も仮に不意打ちしたとしても勝負になんないっての。大体この手の相手は僕の天敵だ」
ヨゾラ「ハルって天敵多すぎない?」
アリス「そんな私が化け物みたいに…………でも、カクヨムの学生主人公って、結構すさまじい強さの人多いよね」
アトリ「それこそ、惑星くらいなら破壊できそうな設定の主人公はゴロゴロいますからね。それだけじゃなくて、最近は大人顔負けの頭脳を持っていたり、裏から日本を操れる政治力を持ってたりもしますよね」
祥「今日の僕たちみたいに、世界線がいくつか交わったら銀河消滅しそう」
アリス「あとは、なんやかんやで魔法ぶっ放したりもしてるし」
ヨゾラ「魔法が使えると人間離れなの? あたしの世界ではみんな使えるのに」
ハル「それはまぁ……そういう世界だし。でもなんだかんだ言って、アルルさんも若干人間辞めそうな節ある気はする」
ヨゾラ「人間辞めたら、アルルも猫になるとか!」
アトリ「なれるんだったら、私も猫になりたい……。と、そんなことより作品紹介しないんですか?」
ハル「そうだったそうだった! それじゃ今回の作品はこれ!」
――――今回のテーマ――――
『幸運無限の少女 - メグミとピーちゃんの異世界紀行 -』
空知音 様:著
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885706904
アリス「不幸な人生を送った女性が、異世界転生してすさまじい幸運を手に入れた作品ねっ!」
祥「人間離れした『幸福』か……そうきたか。てっきり、無双系の主人公が出てくる作品をお勧めするのかと思ってたよ」
ハル「異世界転生して、なおかつ能力が幸運極振りっていう作品は世の中にたくさんあるけれど、そういう題材って意外と扱いにくいってことは、あまり知られていないと思う」
アトリ「その中でもこの作品は、かなり秀逸な魅せ方をしていると思うんです。まずは冒頭のカジノのシーンですね。あれって、何も知らない読者だと、主人公のメグミさんが何かしらの能力で、イカサマを阻止しているって思うんじゃないかな」
ヨゾラ「でも、実は全部ラッキーだった! ってことなんだっけ」
祥「あの序盤のシーンだけで、この作品の魅力が一気に詰まっていると思うんだ。これはただのラッキーマンの物語じゃないって」
ハル「タイトルにもある通り、この物語の主人公メグミさんは、ほとんどすべての大小事件を『運がよかった』で潜り抜けているんだ。しかも、以前あった幸運がすぐに別の幸運を呼びよせるみたいな形で、どんどん連鎖していくのが面白い」
アリス「わらしべ長者…………とはちょっと違うけど、まさに幸運が幸運を呼ぶって感じねっ。本人が若干無自覚なのもポイントの一つだけど」
アトリ「主人公以外の人たちから見ると、本当にすさまじいスペックに見えるんですよね…………まだ10歳なのに、強敵倒して、ドラゴン従えて、超強力なアイテムもって…………普通ならチート乙でおわりよね」
祥「運も実力の内ともいうし、彼女の勇気ある行動も、途轍もない幸運を呼び寄せる秘訣なんだと思うな。謙虚で、それでいて思いやりがあって、いざというときに前に出られる勇敢な心。同世代からすると、これだけでもすでに尊敬に値するよ」
ヨゾラ「ところでさ、題名のメグミって主人公の女の子のことなんだろうけど、ピーちゃんって誰?」
ハル「ピーちゃんはね………ドラゴンなんだ。まだ子供だけど。ぴーぴー鳴くからピーちゃんなんだって」
祥「ひでぇ……でもまあ、途中から本人も受け入れているみたいだし、結果オーライなのかな?」
アトリ「そうはいってもドラゴンですよドラゴン! まだ子供とは言え、そんなのが一緒にいたら、私みたいな一般人は腰が抜けちゃいます!」
アリス「まあね、実際にピーちゃん見た人はほとんど例外なく「た、食べないでください!」って言って腰抜かしてるしねっ! でも、当のメグミちゃんは初めて見た時そこまで驚いていなかった気がする」
ハル「肝の座り方も、何気に人間離れしてるってか」
アトリ「メグミさんの一身これ胆なり!」
ヨゾラ「体全部が
アリス「ちょっ………全身レバって……ぷくく……っ(←ツボに入った)」
祥「あれだけいろいろ起きれば、そりゃ度胸はつくよね。それに生前(?)から不幸が重なって、いろいろ修羅場を潜り抜けてきたわけだし。ちょっとやそっとじゃ動じないさ」
ハル「僕も度胸はある方だと自負してるけど、さすがにリアルドラゴンを見たら、真っ先に猛進逃走するよ」
アトリ「私はたぶん…………気絶します」
祥「僕は………う~ん、何とかなる気もしないでもないけど、実際に会うと違うんだろうな……星川ならドラゴン相手でも仁王立ちできそうだけど」
アリス「そうかなぁ? 私は正直ドラゴンくらいなら、話すことができれば何とかなるかも。それより、
祥「ドラゴンより怖い人ってなんだよ……(想像:湯婆婆)」
ハル「度胸があるのもそうだけど、何より一番の強みは奢らないことだろうね。幸運で得たものを自分で独り占めせずに、周囲にも幸運を分け与えることができるのも、彼女ならではだと思う」
ヨゾラ「ひとりでいるより、みんなといたほうが楽しいもんね!」
アトリ「あ、それはわかる気がします! 西部劇のギャング集団も、ただの無法物っていうだけじゃなくて、ちゃんと仲間を大事にしているからリーダーが尊敬されるんだと思います! ブッチ・キャシディーやジョン・デリンジャーや宋江が大勢の人に慕われたのも、得たものを独り占めせず公平に分けることが――」
ヨゾラ「しゅくせー! しゅくせー!」
アリス「あ、アトリちゃんアトリちゃん! 目がイきかけてたよっ!」
アトリ「はっ……ご、ごめん! つい……」
祥「目つきが、さながら真犯人を追い詰めた時の星川みたいになってた……。でも、アトリさんの言うことももっともだ。ただ運がいいっていうだけじゃ、あれだけ大勢の人に慕われないよ」
ハル「僕にとっては耳が痛いなぁ……理不尽な目にあっても耐えてきたメグミさんと違って、僕は小さい頃はちょっとでも悪く言われると、相手をぼこぼこにしてたから」
ヨゾラ「いんがおーほーだね」
ハル「そんな難しい言葉よく知ってるね……」
ヨゾラ「あと、しめんそか」
アリス「それ、まんま格闘道場……」
(スタッフの笑い声)
ハル「とっ、とにかくっ! 逆に言えば、いくら人間離れしてたとしても、周囲を見下したり、自分の実力に慢心して天狗になっちゃダメってこと!」
アリス「経験者は語る、だねっ(←みんなに好かれる完璧超人)」
ハル「ぐっ、反論できない(←調子に乗りまくって殺害予告された人)」
祥「……うん、確かに(←知人が根回し皆無だったせいで大勢敵に回した)」
アトリ「私には無縁な悩み、かな……(←むしろ自己評価が低い人)」
ヨゾラ「そうなのか(←ねこ)」
ハル「ところで、みんなの周り、あるいは知ってる人で、運がいいなっていう人いる?」
祥「運がいい人か…………考えたこともないな。僕もどっちかっていうと運がない方だし……。しいて言うならやっぱ星川かなぁ」
アリス「どうしてそう思うの?」
祥「いや、あいつは運がいいというより、悪運が強いんだ。諦めが悪いともいうべきかな」
ヨゾラ「いるよね、そういう人。ピンチになっても、毎回ギリギリで助かっちゃうヒーローみたいな人だ」
アリス「運がいい人……私の周りだと、知り合いの白縫火頼ちゃんかなぁ」
アトリ「知りあいって…………友達じゃないの?」
ハル「で、その知人はなんで運がいいの?」
アリス「だって、何回倒しても倒しても、体も心も折れないでちょっとずつ強くなってくるから。普通の人だったら、一回戦ったら、二度と闘いたくないっていうんだもん」
ハル・祥・アトリ・ヨゾラ『それはひょっとしてギャグで言っているのか!?』
(スタッフの笑い声)
アトリ「私はそうですね。運がいいと言えばラッキー・ルチアーノを思い出しますね」
ヨゾラ「名前からして、運がよさそう!」
ハル「というか、運がよかったからラッキーって名前が付いたんだよ」
アリス「たしか、ゴッドファーザーのモデルの一人なんだっけ?」
アトリ「そうなんです! 今どきの若い人はゴッドファザー見たことないっていう人が多くなってますけど、できれば一生に一度は見てほしい傑作映画だって、私は思うんです! モデルの一人になった、チャールズ・“ラッキー”・ルチアーノは、イタリア系マフィアの改革者で、それまで個別に構想を行っていたマフィア同士の利害調整を買って出ることで、イタリアンマフィアの結束と組織拡大に大いに貢献した凄い人なんです! ルチアーノが、ラッキーのあだ名で呼ばれたのは、マフィア同士の抗争の時に、別のマフィアの頭目マッセリアからリンチされて瀕死になったのに生きて帰ってきた、その悪運の良さから名付けられたそうです! でも、それ以外にも生涯の片腕で参謀だった、あのマイヤー・ランスキーを若いころから傍に置いたり、「ラスベガスを作った男」こと"バグジー"ベンジャミン・シーゲルを見出したり、人材運にも恵まれてたんですよ! まるで、マフィア界の劉備玄徳と言ってもいいくらいです! あの悪名高いアメリカ禁酒法を逆手にとって大もうけしたのを皮切りに、麻薬流通や賭博も仕切って―――――」
ヨゾラ「しゅくせー! しゅくせー!」
祥「よくまぁ、そんなことまで知ってるね…………世界史の教師も真っ青なんじゃないかな」
アトリ「あうう……またやっちゃった…………」
ハル「日本でいえば暴力団の《検閲削除》の三代目みたいなものかな。映画になった点も共通してるし」
アリス「じゃあ、ハルは周りに運がいい人いる?」
ハル「単純に運がいいっていうだけなら、リア様だけど」
アリス「あれは…………うん、運がいいっていう次元じゃないことは確かですね」
ハル「でも、やっぱり奏さんかな。本来であれば無謀だった親を殺されたの復讐が、とある事情で一気に実現しちゃったからね。そう考えると、幸運は行動する人に回ってくるって改めてわかるよ」
祥「本作のメグミさんも、自分のためだけじゃなくて、困っている人のために全力で頑張ろうとしているから、それだけ幸運が集まってくるのかもしれない」
アトリ「ヨゾラさんは……周りに運がいいなっていう人いる」
ヨゾラ「それは断然、あたし」
アリス「へ? 自分……?」
ヨゾラ「うん、だって、アルルと出会えたから、あたしはとっても運がいいと思う」
ハル・祥・アトリ・アリス『この子天使だ……!』
(スタッフの笑い声)
ハル「というわけで、第1回学生サミット、終わりっ!」
全員『お疲れさまでしたーっ!」
アリス「なんか、議題についてあまり話した気がしないね」
祥「そもそも人間離れして、悪いことがあるのかどうかすら話し合わなかった気が」
ハル「そだね。作品紹介は出来たけど、この議題は今後も継続していこうか」
アトリ「議論に熱中したら、なんだか喉が渇きました…………」
祥「そりゃ、あんだけ喋ればね……」
ヨゾラ「あたしも、喉乾いたし、お腹も空いた。アリスの髪の毛、油揚げのにおいするけど、食べていい?」
アリス「食べないでくださいっ! 私が飲み物持ってきますから、ちょっと待っててくださいね」
ヨゾラ「じゃああたし、ミルクがいい」
祥「僕はコーヒーブラックで」
ハル「ロイヤルミルクティーがいいな」
アトリ「私はメロンソーダを……」
アリス「はいはい、全員あったかいお茶ね」
ハル・祥・アトリ・ヨゾラ『えっ!?』
(スタッフの笑い声)
※各作者様、ゲスト提供ありがとうございました!
続きは…………次の他推企画があったら
作品紹介のための学生サミット 南木 @sanbousoutyou-ju88
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