第5話 こぐまちゃん、どこからきたの?
こぐまちゃんをおんぶして家まで帰り、ベッドに寝かせた。
「何歳くらいの女の子なんだろう?」
倉庫には小さなボストンバッグがあったので持ってきた。中には着替えとポーチがはいっていた。バッグのネームプレートには名前と生年月日が手書きしてあった。年齢は5歳になったばかり。細い栗色の体毛が柔らかく、なでると気持ちいい。だが旅の途中十分食事をしていなかったためか痩せた感じだ。
「長旅よく頑張ったね。今夜はよくお休み。」
ネームプレートの裏に書いてあった「グレイスハウス」という施設ををネットで調べてみた。災害などで身寄りを失った子どもたちが暮らしているようだ。方角はちがうが、おおぐまちゃんが住んでいた山くらい遠い町にあるらしい。明日早速連絡してみることにしよう。一息ついたらお腹が減った。市場で買ったものはこぐまちゃんが全部たいらげてしまったので、しかたなく先日買ったラーメンを食べることになった。風呂に入ってこぐまちゃんの隣に寝転んだ。ぐっすりと眠っている。頭をなでるとギュッと抱きついてきた。
「こんな小さな体でよく来たもんだ。しかし誰に会いたいんだろう。」
柔らかな手触りが心地よい眠気を誘った。
夜中に懐でモゾモゾするので、おおぐまちゃんは目を覚ました。
「と・・・といれ。」
恥ずかしそうにこぐまちゃんが言った。
灯りをともし案内してやると、あっちへ行けと指をさした。
その後冷たい水を2杯飲み、おおぐまちゃんの手を引きベッドに倒れ込んだ途端、また寝てしまった。
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