薬草師の道
蛍ノ影
第1話 決心
僕には友達がいない。お父さんとお母さんはいなくて、街の人にお世話になりながら日々、生きていた。困っている者は助ける、というのがこの街のモットーだったが街は豊かとは言えなかった。だから何となく僕が邪魔者扱いされていること、”助けてやっている”と仕方なくしている事のように思えてしまった。
よく近くの花畑に行き、そこで本を読むのが好きだった。料理のこと、薬のこと、国のこと、本の中の夢の世界のこと……本は僕に色んなことを教えてくれた。それがまるで誰かに教えてもらっているようでとても好きだ。街の図書館に行けば沢山の本があるが、どうも人に見られるのは苦手になってしまった。だから誰もいない花畑に行くんだ。
本で読んだ事をやってみれば、それを生きることに繋げられたら、仕事に出来たら、あの扱いは無くなるのだろうか、「すごいね」と褒めてくれるのだろうか?
もし出来るなら、自然と触れ合える仕事がいいな。
そう思った僕の行動は早かった。
図書館で植物の本と、その職業の人の出てくる本を探し、家に持ち帰って読んだ。それが人を助ける仕事で大事だということがわかった。
普通の傷薬だけでなく、毒や麻痺を取り除くことも出来るとか。
この仕事はすごい。これでならきっと本当の意味で困っている人を助けられる!
教えてくれる人はいない。けど本と植物が僕の先生だ。
街の人だけでなく、もっと多くの人に喜んでもらいたい。
「………誰かに、必要とされたい」
大人になるまで友達がいないのは嫌だな……
あと1年と少し経てば大人になる。
それまでに自分の薬をみんなに届けられるように勉強する。薬草以外にも学ぶことがまだまだありそうだ。
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