ネコ

勝利だギューちゃん

第1話

ひとりで歩いていた・・・

僕は、いわゆる「ぼっち」

友達がいない・・・

まあ、欲しくもないけど・・・


周りから見れば、僕は石ころ・・・

僕から見れば、周りは背景・・・


まさしく自分の殻に閉じこもっている・・・


「ねえ」

えっ・・・

(空耳か・・・)

「ねえ・・・たら・・・」

えっ・・・

(誰かいる・・・?)

気になって仕方がない・・・


「ここよ、ここ」

(どこに、いるの?)

「わからない・・・)

(・・・うん・・・」

「じゃあ、目を閉じてみて・・・」

(・・こう・・・?)

言われるままに、目を閉じてみた・・・


すると、女の子の姿がそこにいた・・・

「やっと、会えたね」

「・・・き・・・君は・・・」

「あっ、声に出しちゃだめ、それと目は閉じたまま・・・」

(君は、声に出してる・・・)

「大丈夫、私の声は、君にしか、聞えない・・・」

(で、君は・・・)


「名前は、今は秘密、君と同い年の女の子よ」

(それは、見ればわかるけど・・・)

「あれ、赤くなってる?女の子は苦手?」

(・・・うん・・・)

「ウブだね・・・」


(で、何の用なの・・・)

「君を見ていて、思ったんだけど・・・」

(どうせ、良くないことでしょ・・・」

「うーん、どう取るかは君次第かな・・・」

(どういう意味?)

「じゃあ、言うけどね、君はネコみたいだね」

(ネコ?)

「1人が好きなくせに、構ってもらわないと寂しい・・・」

(否定はしないが・・・)


「君は、自分に嘘をついている」

(嘘?)

「ひとりが好きと言ってるけど、本当はみんなの中にいたい・・・」

(なぜ、そう言えるの?)

「だって、私はもうひとりの君だから・・・」

(もうひとりの、・・・僕・・・)


「人は、心の中に、もうひとりの自分を持っているの?」

(もう一人の?)

「それはね、性格も性別も全て反対なの・・・だから、私は女の子なの・・・」

(なぜ、現れたの?)

「普段は隠れているんだけどね、さすがに助けたあげたくなった・・・」

(どうやって・・・)


「何も・・・」

(何もって・・・)

「だって、君が変われば、私も変わる・・・」

(で、どうすればいいの?)

「これまでの会話のなかで、もう分かってるよ」

(分からない)

「いえ、分かってるわ。君と私は何もかもが、正反対」

(つまりは・・・)

「私はバカだけど、君は頭がいい、だから分かるはず」

(証拠は?)

「もう、私の名前、分かってるでしょ?」

(うん)

「それが、答え・・・」


目を開ける。

いつもの光景が広がっていた・・・


ネコは明るいところが好きだ・・・


出よう・・・陽のあたる場所へ・・・

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ネコ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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