継母

勝利だギューちゃん

第1話

俺の名は、山野春樹。

17歳の高校生。


母親に恋をした。

母親と言っても、実の母親ではない。

実の母親は、俺が幼い頃に死んだ・・・


つまり、俺が恋をした母親は、親父の再婚相手、

つまり、継母になる。


その継母なんだが・・・


実は、俺のクラスメイトの女子なのだ・・・

もともと、その女子に好意は抱いていたのだが、

遠くから見ることしか出来なかった・・・


しかし、ある日突然、その女子から声を掛けてくるようになり、

話す機会が増えて行った・・・


よくわからなかったが、嬉しかったのを覚えている・・・

ただ最初から、春樹ちゃんと呼んでいたのが不思議だったが・・・


しばらくして、親父が女性を連れてきた。

「お前の、新しいお母さんだ」と・・・

その相手が、そのクラスメイトの女子・・・

優月みどりだった・・・


わけのわからないまま、結婚式が行われ、

わけのわからないまま、家に来て、

わけのわからないまま、一緒に暮らすようになった・・・


そして、優月みどりは、山野みどりとなり、

俺の、母となった・・・


どこで、どう出会ったのかは、教えてくれていない。

ただ、お金目当てではないようなので、安心している・・・

相手の両親も、「娘が幸せになるのなら」と、喜んで承諾したようだ・・・


物わかりが良すぎるが・・・


しかも、結婚直後に、親父が単身赴任で、海外に転勤した・・・

俺には兄弟がいない一人っ子・・・


つまり、みどりと・・・いや、母さんというべきか・・・

2人暮らしになってしまった・・・


同い年の女子と、ひとつ屋根の下にいれば、意識をしないほうが、おかしい・・・

しかも、この事は周囲には、ばれている・・・


「意識しないでいいよ」と、言ってはいるが・・・

それは、無理というものだ・・・


学校では、出来るだけ避けているが・・・

そうは、いかないものだ・・・

邪険にはできない・・・


家の中でも、親父の妻に手は出せない・・・

となると、必然と家の中でも、距離を置く・・・

最低限の会話だけをして・・・


一年後、親父が帰ってきた・・・

母さん(と呼ぶ)は喜んでいた。


一年のブランクがあっても冷めなかった、ふたりの愛は本物だろう・・・


俺は潔く身を引いた・・・

まあ、一度親子関係になれば、法律上結婚できないのだが・・・

母さん、いや・・・あの子への想いは、一生胸に秘め、

墓場まで、持っていこう・・・


後日わかったが、母さんが暴漢に襲われているところを、

親父が助けたのが、馴れ初めらしい・・・

親父には下心はなかったようだが、母さんのアプローチに、

根負けしたようだ・・・


俺がいても、邪魔なので、すぐに家を出た。


「親父、母さん、お幸せに・・・」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

継母 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る