俺はヒーローになれない
BUNBUN
プロローグ
小さい頃、テレビに映るヒーローに憧れた。
弱きを助け、悪しきを挫く。
そんなヒーローになりたいと本気で思っていた。
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4月3日。
少しばかり冬の匂いが残る風を浴びながら、俺は今日から通学路になる道を歩いていた。
新しい学校に新しい制服が、まるで子供の頃初めて小学校にいった時ような無邪気で新鮮な気持ちを運んでくる。
そのおかげもあってか、家の近所の見慣れた景色が全く新しいものに感じた。
時刻は8時、周りには出勤中のサラリーマンや、遅刻ギリギリで走っている小学生などが多く見られる。
綺麗な朝の光に元気な草花。
俺は一つ深いため息をつくと、無意識に今の心情が口から溢れた。
「……帰りたい」
そう、帰りたい。
家を一歩出た時から、なんなら朝起きた時からこの気持ちしかない。
のどかな風景?綺麗な草花?うん、ほんっとどうでも良い。
今すぐ自分の布団で夢の世界へ旅立ちたい。
これ朝から何回繰り返してんだ……。
でも本音だから仕方がない。
今日は高校の入学式。
俺の入学する青ヶ原高等学校はかなりの有名校であったため、昨日の夜までは結構楽しみだったりしたのだが、いざ当日になってみるとものすごくめんどくさくなった。
あるあるだよね、これ。
「……とっとと行くか」
キリがないので、考えるのをやめて歩くことにした。
俺、
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