邪神企画運営萌キャラ化計画

今晩葉ミチル

信じられませんわ!

「まぁ、なんという事でしょう!」

 システム開発者りんこちゃんは驚愕した。紫色の瞳でパソコン画面を凝視し、唖然とした。整った顔と華奢な両手に汗がにじむ。

 カクヨムにとんでもないものが投稿されたからだ。


 邪神企画運営萌えキャラ化計画


「いつから企画は邪神のものとなったのでしょう? しかも、運営を萌えキャラ化するなんて、果てしなく無謀ですわ! 運営は縁の下の力持ちとなるべきでしょう!?」

 りんこちゃんは、紫色の腰まで伸ばした艶のある髪をかき乱す。

 彼女の動揺ももっともなのだ。

 説明しよう!

 企画とは通所ラ研と呼ばれる某所でしょっちゅう行われるイベントの事である。

 そのイベントとは、匿名で互いの小説を読み合うというものだ。作者名が分からないため、純粋に作品の評価ができる。

 このようなイベントで、邪神ミチルがいろいろ口を挟むのは珍しくない。問題は、奴の思いつきはろくな方向にいった試しがない事。放っておけば、悲惨な運命を辿るだろう。

「企画を盛り上げるために広告したいのは分かりますが、無茶ですわ。運営の誰が萌えキャラになれますの? そもそも運営が萌えキャラになる必要がありますの?」

 りんこちゃんの脳内はハテナが絶えない。

 そんなりんこちゃんにトドメを刺すように、邪神ミチルからメールが来た。


 ツイッターに邪神の自画像アップしといたよー。すっごく萌えるのだーww 見てねー♪


「何を考えていますの……?」

 りんこちゃんは恐る恐るツイッターを開く。

 そこには、たしかに写真がアップロードされていた。

 しかし、予想とは大きく違った。

 脂汗ギトギトの怪しい目つきのおっさんのイラストだ。鼻毛と無精髭を惜しみなく生やした顔には可愛いのかの字もない。

 返信欄を見ると、阿鼻叫喚だった。

 俺の期待した時間を返せ、イラストの完成度が残念すぎる、うぎゃーやめろーなど。

「私は何も見ておりませんわ」

 りんこちゃんはツイッターをそっ閉じ。パソコンを閉じて、何もなかったと自分に何度も言い聞かせる。

 しかし、運命は残酷だ。

 追撃を掛けるように、邪神ミチルからメールがきた。


 邪神の自画像を、りんこちゃんがナイスなシステムを作ってツイッター以外にも広げるのだー♪ 頑張るのだー☆


「信じられませんわ!」

 りんこちゃんは両目を見開いた。

「また私の仕事が増えますの!?」

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