ふりょ・恋! 〜不良少女と発達障害の俺〜

アキノリ@pokkey11.1

第1話 遭遇

俺の名前は冴島高雅、この名前は、さえじまこうが、って読む。

スペック、高二、身長165、中肉、顔立ちはクソ妹によれば不細工とイケメンを足して2で割った様な感じらしい。

冴えない顔付きに短い髪の毛が気持ち的に好きだから短め。

そんな俺は運動神経0に近く、精神障害を持っており、人と交わるのがとても苦手で仕方が無い。

クラスメイトも中学ならそれなりに親しいヤツが居たけど、高校になり、知り合い0になった。

だが、ボッチだけどそれなりに楽しい人生を送っている。

何故なら。


「.....ふむ。やはり面白いな。ハズレじゃ無い」


俺の日々は漫画とラノベとアニメに奥底から救われる日々だからだ。

漫画、ラノベ、アニメは神様とも思っている。

俺はライトノベルを端から端まできっちり整えて。

勉強机にキッチリ置いて、そして勉強を始める。

ああ、因みに俺の精神障害名は発達障害って言えるヤツだ。


「.....キツイんだよな。クソッ」


周りを見渡せばチリ一つ無い整った部屋に、机のライトに照らされている、毎回整えているキッチリしたラノベ本棚。

自閉症スペクトラム。

俺の場合、簡単に言えば、物事がキッチリしてないと頭に来る。

簡単に言えばブチ切れて部屋で暴れるぐらいに。

その為か、妹とも変人扱いを受け、絶縁関係になった。

俺はそんな俺自身が嫌いだ。

だけど、いつしか漫画やラノベ、アニメに救われて、これまで持ち堪えてやって来れたのだ。

特に俺はソー○アートオンライン好き。

良いよね、キリト。


「.....キリトに1%でもなれば良いんだけどな」


俺は有り得ない様な可能性をその様に空気に流す様に呟き、勉強を始めた。

その際に、手元に有るコップに入っている飲み物が無い事に気付く。

コーヒーだ。

俺のお気に入りなのに。

何故なら、薬の副作用での眠気がパッと覚めるから。

つまりそれが無いという事は、勉強が出来ない。

勉強=眠いから。


「.....あんまりお金に余り触りたく無いが.....って、ああそうか。プリペイドカードがあったな。ラッキー」


かなり独特な強迫神経症でも有る俺。

つまり、お金に触れる事が出来なかったりもする。

確認強迫もある。

手袋しないとお金に触れない、毎回片付けないと気が済まない。

キツイもんだ。

だけど、ラッキーな事に今日はプリペイドカードという画期的なアイテムが有る事に気が付いた。

これならお金に触らずに済む。

外に出る気力が湧いた。


「.....よし。行くか」


服装も整え、鞄の中身を整え、身なりを整え。

そして、ゆっくりと歩き出す。

うむ、今の所は良い感じだ、俺はその様に思いながら。

歩いて部屋を出た。



俺はi○odでアニソンを掛けてイヤホンをしながら外で曲を口ずさむのが好きだ。

その為、歌が上手かったりする。

まぁ、変人に見られるけど個性だろ。

自宅近辺に有る、コンビニからの缶コーヒー買っての帰り道だった。

季節は3月で、ちょっと寒い中を歩く。

空気に白い息が出て、楽しみながら。


「♩」


少しだけ街灯に照らされる様な、暗めの歩道の上。

人通りが少ない、何時もの通りを鼻歌を口ずさみながら歩く。

すると、ゆっくりと何か聞こえた。

事切れる様な声で。


「やめて.....お願い.....私に負けで良いから.....!」


「.....?」


俺の居る場所から、右奥、人通りが更に少ない場所。

路地裏、そこから何か聞こえた。

買い物をする為に、イヤホンが偶然に片耳だけしか嵌めておらず。

興味本位でその光景を覗き見てしまった。

そして酷く驚愕した。

何故なら、素っ裸の女の子が居た。

下半身も良く見える。

いや、ちょ、AV?と思ったのだが。

何か違うと俺は目を細める。

すると、周りからわんさかと男が出て来た。


「.....お前ら協力しろ。この腐った女、嬲ってやる。俺の仲間を傷つけやがって」


ナイフを、棒を持った男達が4〜5人居る。

明らかにこれはおかしい。

何をするつもりなのか知らないが、犯罪じゃないか。

俺はその様に思いながら、目を細める。

そして、ポケットの携帯、スマホに110を掛けようとした。

のだが、その背後から唐突に声が。


「おい。何やってんだ」


「.....!」


いきなりの攻撃だった。

背後から現れた大男にガスンと後頭部を殴られ。

そして、その場で意識を失い。

まさかの事態に倒れた。



「おい、起きろ」


「.....?」


その様に言われ、ゆっくりと瞼を開き、起きた。

目の前に、素っ裸の女の子がいる。

そのまま、嬲られた様には見えない。

なんだこの状況?

俺はクエスチョンマークを浮かべる。

そして、良く見ると。

俺の下半身のズボンが脱がされていた。

なんだ、どういう事だ!

思っていると、答えが直ぐに出た。

目の前のボス猿が答えたのだ。


「.....お前さ、その女犯せ。俺の代わりにな。見世物になるわ」


「.....えっと.....そんな事出来ませんよ.....!」


まさかの事態。

そのパターンかよ。

目の前の女の子は暴力のせいか、相当に疲労しており俺を見つめるだけであった。

恥ずかしがったりもしてない程に衰弱している。

髪がボサボサで誰かは分からない。

不細工かも知れないけど、今はそんな事はどうでも良い。

この危機的状況だ、先ずは。


「犯せや。然もなくば殺すぞ」


「.....」


煉瓦の上に腰掛けて居た大男は立った。

目の前に巌の様な、180センチ近くは有りそうな、大男が立ちはだかる。

そして飛び出しナイフか?ナイフを俺に見せつけてくる。

薄暗かった為によく見えなかったが、近くで見ると。

サングラスに、ガムを噛んでいた。

完全な不良の大かしら的な。

俺は驚愕して、青ざめる。

反射的に、何か、無いのか。

と思って、押さえつけられながらポケットを漁ったが、携帯は取られていた。


「何もねーよ。全部預かったからな」


巌の不良はその様に大笑いして話す。

絶望的か。

その様に思いながら、何も残って無いと思ったポケットを再び漁ると。

あれ、が残っていた。

馬鹿だな、これが残っているなんて。


「.....携帯を取るのは反則でしょう」


「通報されたらたまらないからな。いいから早くしろ。お前らの姿をネットにアップしてやっからよ。ハハハ!」


「ハハッ!」


周りの不良の奴らも楽しんでいる。

だけど、その楽しみはもう終わりだと思う。

キャラモノのペンダントがポケットに入ったままだ。

ただのペンダントじゃ無い。

鳴らすと、110番に通報される。

俺が障害者だから、何か障害で苦しんだ時、周りの人達に知らせようと思ってポケットに入れてたけどまさかこんな形で役に立つ日が来るなんて。

最悪だけど、助かる。

鳴らしてやる。


「.....」


ジリリリリリリ!!!!!


「!?」


「!!!?」


その、防犯ブザーの音量をMAXにして。

紐を引っ張った途端、辺りに警報音が鳴り響き出した。

相当な、キャラモノブザーのMAXの大音量が辺りに響き渡る。

こうすると、キャラモノブザーの中に入っている、GPSが作動して。

警察が来るという仕組みである。

そして、この大音量。

危険が増すけど、命には変えられない。

女の子も驚愕して、顔を上げた。


「テメェ!なんだそりゃ!今直ぐに消せや!」


「そうは.....いかないです。アンタらとても悪い事をしているんだから!」


巌の男が驚愕して、俺からそれを取り上げようとした。

だが俺は隙を見て、ブザーを取られまいとブザーを思いっきり側にあった駐輪場の屋根の上に投げた。

乗っかって、それでもブザーは鳴り続けた。

あまりの音量に周りが大慌てになる。

俺の胸ぐらを掴んで、そして思いっきりに殴ろうとする巌の男。

それどころか、ナイフを空気を切る様に振り翳す。

ここまでか。

せめて女の子だけでも助かってくれ。

思っていた、その時だった。


ピーポーピーポー


と警察のサイレンが聞こえた。

近くに警察が居た様で。

その瞬間、不良どもは、クソッタレが!、と叫んで。

そして逃げ出して行った。

巌の男については俺を一瞥して、思いっきり睨んで、だ。



「.....成る程、状況は分かりました。詳しくは病院で.....」


若い、巡査だろうか。

警察はその様に何かを書きながら実況見分をする。

野次馬、警察、救急車がこの場に集まっていた。

そんな中でズボンを履いてから俺は下半身を脱がされたその場で警察の事情聴取を受けていたのだが。

救急車.....。

でも、病院に行くほどなのだろうか。

俺はクエスチョンマークを浮かべて、首を捻る。


「.....先に女の子の方を病院に連れて行って上げて下さい。僕は.....病院は大丈夫だと思います」


「いえ、そういう訳にはいきませんので。あ、ご両親とか.....」


その警察の言葉を聞きながら、俺は女の子の方を目だけ動かしてチラ見した。

女の子は裸に毛布が被せられ、救急車で運ばれていた。

それを見て、俺は前を向く。


「.....じゃあ、病院で.....」


「はい。えっと、ご両親にも事情を聞きたいので、お電話しますね。また、状況によりますが、感謝状を.....」


その言葉を聞きながら俺はえらい事になってしまった。

と思いつつ、ため息を吐く。

だけど、犯されそうな女の子が救えた。

これだけでも良かったのでは無いだろうか。

俺はその様に思った。

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