第46話 ダンス・ウィズ・チャクラ
すこし前の話で、妖怪に会った経験談を語りました。
ぼくが経験した怪異譚は、この『妖怪』の話と、あと『金縛り』に二回あったこと、それともう一つだけしかありません。
それが『チャクラ』が回った話。
いろいろ調べたんですが、どうもよく分からなくて、一応『チャクラ』ってことにしています(笑)。これを読んだヨガの行者さんとかがいて、「いやそれちがうよ」というご指摘がくるかもしれません。
『金縛り』に会ったのが、たぶん中学生のときだと思います。霊的なものはまったく感じず、夜、布団のなかで寝入る直前、きーん!と耳鳴りがして、体がまったく動かなくなりました。
これはよく医学的に説明されている、体が寝ているのに、脳だけ覚醒している状態かもしれません。『金縛り』ではありますが、霊的なものとは思えませんでした。
で、チャクラです。
これは、二十歳前後でしょうか。寝入りばなに起こりました。
ベッドの中で仰向けに寝いてる状態。なにか、もやもやした感覚が頭のてっぺんに集まりだしたんです。当時ぼくは特に瞑想とかそういうことはしていなかったのですが、ちょっと不思議な感じがして、そのもやもやした感覚を頭頂部に集めて気持ちを集中したんです。
すると、頭のてっぺんで、何かが回りだしました。
もの凄い勢いで回りだしたそれは、ちょうど頭のてっぺんに鉄独楽を乗せている感覚です。「ぶーん」と唸って、超高速で回転し、しかもその回転が重いんです。まさに、鉄独楽のように。
正直、結構痛かったです。
やがて、その鉄独楽は消え、あとには頭頂部の痛みだけが残りました。
あれは何だったんだろう?と思うのですが、『チャクラ』が回ったとしか説明しようがありませんでした。
そして、そのしばらくあと、もう一度この現象は起きます。
寝入りばな、頭頂部に感覚がきて、「ぶーん」と唸って鉄独楽が回る。やがて消え、あとには痛みが残る。
頭頂部でなにかが高速回転したのは、この二回こっきりです。じつは去年、おんなじような感覚が来て、もう少しで何かが回りそうなところまでたどり着いたんですが、結局は回らなかったです。
この、頭頂部で『チャクラ』?が二度回った経験のあとか、もしくは、一回目と二回目の間の事です。
おなじ状況。ベッドに仰向けに横たわった寝入りばな。
今度は、額に変な感覚が集まり始めました。
今度は額か?と思って、同じように気持ちを集中しました。
すると、今度は額で何かが回り始めました。
頭頂部よりもずっと小さく、小さいがゆえにさらに高速でした。
大きさはどんぐりくらい。もう「ふーーーん」という感じて高音の唸りを上げて、凄い高速回転します。
額です。眉と眉の間のちょっと上あたり。かすかに窪んだ場所でした。皮膚のすぐ下で今回も痛いくらいに高速回転しました。痛みは頭頂の時より小さく、ただし鋭く、その回転速度は恐ろしいほどでした。
額のチャクラが回ったのはこの一回のみ。頭頂と合わせて都合三回、チャクラが回りました。
それで超能力に目覚めたりした、ということは全くなかったのですが。
後年、剣道をやってらっしゃる方にお会いして、その方がこんなお話をされていました。
「むかし、鳩尾に独楽が入っちゃったことがあって。そのとき、いつもは全然敵わない相手をめちゃくちゃに打ち据えられたんですよ」
ここでいう、『独楽が入る』ということは、ぼくの『チャクラ』が回った話と一緒なのでしょうか? ただ、頭頂部はまさに鉄独楽でしたが、額はどんぐりでした。これが鳩尾だと、どんな形なのでしょう? でも、回転するところは似ています。
この先生とはその後お会いする機会もなく、謎は謎のままです。
いったいあれはなんだったのでしょう? 『チャクラ』が回ったのでしょうか?
それとも、ただの夢だったのか?
いまだに謎のままなんです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます