第12話 「弱虫ペダル」の第1巻を読んで泣いた過去
「弱虫ペダル」とは、高校の自転車部の活躍を描いたコミックなんですけど、これもう10年くらい前から連載してるんじゃないでしょうか?と、ここまで書いて一応調べてみたら10年前から連載でした。
ぼくは当初からこのコミックの存在は知っていたのですが、読んではいなかったんです。
が、近年アニメ化されて、女子のあいだで大人気になり、へーそうなんだ?とちょっと気になって、マンガ喫茶で読みました。
もう1巻で大号泣しました。
知らない人のために1巻のストーリーを解説すると、一言で言って、ママチャリとロードバイクのバトルなんです。ロードバイクってのは、あの細いフレームに細いタイヤの、ドロップハンドルがエグイ、超速い自転車なんです。
で、主人公はこのロードバイクに挑戦されて、学校の裏の山道を登るレースにママチャリで挑みます。
ロードバイクに乗ったことある人は分かると思いますが、あれってもうママチャリとは次元のちがう乗り物なんですよ。スクーターとF1くらいちがう。ママチャリでロードバイクと勝負なんて、それこそマンガでしかありえない展開なんです。
で、ママチャリの主人公、ロードバイクのライバルにあっさりぶち抜かれて落ち込むわけです。が、そこで自転車屋の娘の女の子があることをするんです。
もう、そこのシーンで、泣きました。大号泣。思い出して今も涙ぐんでいます。
その女の子。主人公のママチャリの……、
サドルを上げるんです……。
は?と思った人います? いるでしょうね。
この話をしたら、うちの職場のアニメ好きの女の子、クドーちゃんは、にへら~っと笑って、「そこですか」といいました。
でも、あの場面、自転車好きの人は、納得するんじゃないでしょうか。
自転車というのは、人間が乗って漕ぐ乗り物です。そこには乗り手に合ったセッティングというのが存在し、たとえばハンドルと軸をつなぐステムという水平な棒の長さによって、乗り味が全然ちがうと言われています。
シフターの位置、ブレーキの利きと遊び、タイヤの空気圧。ちょっとちがうだけで、全然運動性が変わってきます。そういったマシン・セッティングでもっとも重要なもの。それが、実はサドルの高さです。
このサドルの高さを変えるだけで、同じ自転車に同じ人が乗っても、その性能が変わるんです。
だいたいの自転車は、止まった時、足を地につけるため、サドルを少し低くしてます。が、地に足が着くということは、ペダルを踏む足はもう少し伸ばせる。つもり、もう少しペダルを回せるのです。このもう少し、あと一滴を引き出すためのサドル位置。それは通常よりもかなり高い位置なのです。
そして、このサドルの高さの調整には、ママチャリもロードバイクもありません。その人にとって最適なポジションがあるだけです。マシンスペックだけが絶対ではない。自転車は人が乗って漕ぐ乗り物であり、人間の気合で唯一性能がアップする乗り物です。
それを「弱虫ペダル」の作者は知っていたんです。自転車のマンガ描くくらいだから当たり前だけど。
ちなみに、そのあとの巻では、別のキャラクターの、
「シマノの本社も大阪にあるんや!」
で泣きました(笑)。その話はいずれ。
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