182 メテオラの魔法ノート その三

「私は確信したの。あの魔法学校十三階の高さにある、割れた無数のステンドグラスの破片の中から、魔法学校の一階の床に向かって落ちていくモリー先生のことを、しっかりと捕まえて助け出したメテオラくんの姿を見てね、……あ、この子は将来大物になる。

 もしかしたらメテオラくんはあの天才魔法使いマシューくんに代わって、将来の魔法の森の大魔法使いになるかもしれない、って私は思ったの。

 だからメテオラくんの本を執筆しようと決めたのよ。今日はその承諾と取材にきたの」とべべさんは言った。

 メテオラはなんて言っていいのかわからずに困ってしまった。

 すると駄目押しをするように「大魔法使い、ソマリには許可を貰っているわ」とべべさんは言った。

「ソマリお兄ちゃんが? 本当ですか?」

「本当」と紅茶を飲みながらべべさんは言う。それからべべさんは「あち!」と言って舌を出した。どうやらべべさんは猫舌のようだ。

「……それからマグ先生からも許可を貰っている」口元をハンカチで拭いてから、べべさんは言う。

「マグお姉ちゃんからも……」メテオラは悩んだ。

 でも、その二人から許可が出ているのなら、もう答えは出ているようなものだった。

 メテオラはべべさんの申し出を受けた。

 するとべべさんはとても喜んで、それから簡単な取材のようなものをメテオラはべべさんから受ける羽目になってしまった。

 ……ワルプルギスさんのときもそうだったけど、取材というものは、何度受けても恥ずかしいものなんですね、とべべさんの取材を受けながらメテオラは思った。

「じゃあね、メテオラくん。魔法書が完成したら、まず真っ先にメテオラくんに読んでもらって、その感想を教えてもらうからね!」

 そう言ってべべさんは笑顔で、メテオラの家をあとにした。

 家の中で一人になったメテオラは紅茶の後片付けをしたあとで、窓の外にある気持ちのいい秋の空を眺めながら、「はぁー」と、とても深いため息をついた。

 それからメテオラは机に戻って、一人で勉強の続きをした。

 その勉強の成果もあって、メテオラは数ヶ月後に行われた魔法学校の三回目の定期試験でも一番の成績をとった。


 メテオラの魔法ノート その三

 

 魔法使いの歌


 魔法使いの歌には不思議な力が宿るとされている。なので魔法使いたちは滅多なことがない限り、歌を勝手に歌ったりはしない。(とくに集団では罰則があるほどに、厳しく禁止されている)


 魔法使いの研究について


 メテオラは鉱石(黒曜石など)の研究を自身の魔法使いの研究として選びたいと思っている。

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