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 マリンは興味深そうにその箱を見ているメテオラとニコラスに、その魔法具の機能を教えてくれた。

「それはすごいですね」とメテオラは素直な感想を言う。

 ニコラスもへー、という顔でマリンが両手で抱えるように持っているその箱を眺めていた。

「それはすごいですけど、どうしてマリンさんがこの写真機っていう魔法具を持っているんですか? それに写真を撮っていたということですけど、どうしてそんなことをしているんですか?」とメテオラはマリンに質問する。

「……それはですね。その、えっと……」とマリンは自分の状況をどうメテオラたちに説明したらよいものか考えているようだった。

「……うーん、あ、そうだ! えっと、まずはこれを見てくれますか?」

 そう言ってマリンは一枚の紙を肩に下げていたカバンの中から取り出してメテオラたちに手渡してくれた。その紙の一番上には『魔法の森新聞パンプキン』という文字が書かれている。

 それは魔法の森で読まれている不定期の新聞雑誌パンプキンの最新号だった。新聞の一面には記事として『魔法学校に幽霊!? その全貌に魔法学校新聞部が迫る!』という内容の記事が書かれていた。

「これが一体どうかしたんですか?」とメテオラは聞く。

「……その記事を書いたのはマシューくんなんです。それで、その記事の中にある新聞部っていうのが……、実は私たち月組の三人なんです」と写真機で自分の顔を隠しながらマリンはメテオラとニコラスにそう教えてくれた。

 だけどメテオラはマリンのその説明を聞いて首をひねってしまった。それはメテオラだけでなくニコラスもそうだった。

 そんな風にメテオラたちがマリンの説明をよく理解できなかった理由は『新聞部』という聞きなれない言葉のためだった。そもそも魔法学校には部活動の制度はなく、新聞部なんて部があるという話は聞いたことがなかった。

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