82
それにマリンがメテオラたちに見せてくれたのは魔法の森で読まれている新聞雑誌パンプキンだった。メテオラの記憶が確かならパンプキンは森の街にある新聞屋さんが発行している新聞のはずだった。魔法学校が新聞を発行しているなんて話はソマリお兄ちゃんにも、マグお姉ちゃんにも聞いたことがない。
なのにマリンはこの記事を書いたのはマシューであるといい、そして月組の三人が新聞部の部員であると言う。確かにパンプキンにも新聞部という文字が載っていた。だから、これは一体どういうことなのだろう? とメテオラたちは疑問に思ってしまったのだ。
「えっとですね。なんでも今年から街の新聞屋さんと魔法学校が共同でパンプキンを発行することになったんだそうです。それで、その手伝いをするために新しく魔法学校で新聞部を立ちあげることになったらしくて、先生たちの会議でその顧問にモリー先生が就任することが決まったんです。その流れで、モリー先生の教室の生徒である私たち月組の三人が新聞部の部員になるということになりまして……、ああしてデボラくんとアビーくんがみんなに新聞を配っているというわけです」
するとメテオラたちの疑問を察してマリンがさらに詳しい説明を続けてくれた。その説明を聞いて、ようやくメテオラたちはマリンたちが置かれている状況を理解することができた。
「なるほど。そういうことだったんですね。今のマリンさんの説明で僕にも皆さんの状況がよく理解できました。つまりデボラくんとアビーくんが新聞を配っているのも、マリンさんが写真を撮っていたのも、すべて新聞部の活動の一環というわけですね」とメテオラはマリンに言う。
「はい。そういうことだったんです」と嬉しそうにうんうんと返事をするマリン。
「では、その写真機という魔法具は、新聞屋さんからの貸し出しってことなんですか?」とメテオラが聞く。マリンはメテオラに「はい。そうです」と返事をした。
「ワルプルギスさんっていう女性の魔法使いさんなんです。とても素敵な人でしたよ。今もたぶん魔法学校にいて、モリー先生と今後のパンプキンについての方向性を話し合っているんだと思います」
「へー、そうなんですね。僕も会ってみたいです」とメテオラが言う。
「うーん、でもさ、それはわかったんだけどさ、どうしてマリンさんはここに隠れながら写真を撮っていたの? 表で堂々と撮ったほうが素敵な写真が撮れそうな気が僕にはするけど……、なにか隠れなきゃいけない理由でもあるの?」とニコラスが言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます