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 中央付近に立っている一人だけ背丈の高い魔法使いは……、どうやらモリー先生のようだった。

 銀の民は太陽が苦手なので、モリー先生はいつも愛用している黒いゴシック調の日傘をさして日差しの照りつける校庭に立っている。その輝く銀色の髪は日陰の中でも存在感を失っておらず、相変わらずとても綺麗な人だな、と遠目にもかかわらずメテオラは思った。

 その隣には一人の黒髪の女の子が立っていた。顔は……、あんまりよく見えないけど、どうやらメテオラの知らない魔法使いの女の子のようだ。

 そして問題なのは、その二人の周りを大きく回るようにして、ぐるぐると校庭を走らされている二人の体操服姿の男の子がいることだ。

 紫がかった瞳をしている男の子がデボラ。

 水色がかった瞳をしている男の子がアビー。

 そんな二人の姿を見ただけで、「あぁー、なるほど」という声がメテオラたち三人の口から一斉にこぼれ落ちた。どうやら先ほどの警報は二人のいたずらのせいだったようだ。

 アネットの質問の答えもわかり、メテオラたちは席に戻ってマグお姉ちゃんの授業を受けた。その授業は基礎魔法の原理を復習するもので、苦戦している空を飛ぶ訓練とは打って変わって、とてもスムーズに授業は終了した。

 ニコラスも、アネットも、とても勉強のできがいい。 

 ごーん、ごーんと鐘が鳴り、そのままお昼の時間になった。

 メテオラとニコラスは食堂で、アネットとマグお姉ちゃんはお弁当を持って教室を出て、それぞれお昼ご飯を食べた。

 メテオラとニコラスが食堂から星組の教室に戻ってくると、そこにはすでにアネットの姿があった。再び合流して三人になったメテオラたちは席についてマグお姉ちゃんの到着を待った。だけど、いつまでたっても、マグお姉ちゃんがやってこない。

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