それからしばらくの間、台所からいろんな音が聞こえてきて、やがて料理が完成し、マグお姉ちゃんが両手に木製の丸い深みのあるお皿を持ってメテオラの前までやってきた。お皿にはどれもおいしそうな料理がきれいに盛り付けられている。それをマグお姉ちゃんは何回かに分けて丸テーブルの上まで運んでくれた。

 朝の献立は焼きたてパン、大盛りサラダ、茄子をメインとした野菜炒め、コーンスープ、そして数種類のチーズの盛り合わせと飲み物はミルクだった。

 とてもおいしそうだったけど、少食のメテオラには少し量が多かった。

 メテオラが少食であることはマグお姉ちゃんももちろん知っていることなので、もしかしたらそこには今日は魔法学校初日なんだからこれくらいは食べなさい、という隠れたメッセージが込められているかもしれない。

「さあメテオラ。できたよ。ちゃんと好き嫌いしないで残さず全部食べるんだよ」マグお姉ちゃんは笑顔でメテオラにそう言った。

 メテオラはマグお姉ちゃんに「はい」と返事をしたのだけど、内心こんなにいっぱい全部残さず食べられるかな? と少し心配な気持ちになっていた。

 なぜメテオラがそんな気持ちになったかというとそれは『出された食事を全部食べずに残すことは魔法使いにとって、もっともマナーが悪いとされている行為』だったからだ。

 メテオラはこの料理は全部僕が食べきるぞと覚悟を決めて、まずは焼きたてのパンをコーンスープにつけて食べることにした。

 口の中でかりっといい音がする。

 マグお姉ちゃんの作ってくれた朝ごはんは、いつも通りすごくおいしかった。メテオラは一生懸命に料理を食べる。

 メテオラの正面の席に腰を下ろしたマグお姉ちゃんはとても楽しそうな顔をしている。朝ごはんを一生懸命食べているメテオラの姿を見て、マグお姉ちゃんは幸せそうに笑っているのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る