雨の日に

勝利だギューちゃん

第1話

外は雨が、降っていた・・・


普段は出不精な僕も、雨の日は好きだ・・・

外へ出たくなる。


普通の人とは、真逆だ・・・

今日もお気に入りの雨傘をさして、外へ出た。


断っておくが、「雨宿りをして困っている女性に傘をあげて・・・」

なんていう、下心はまるでない。


純粋に雨が好きだ・・・


しばらく歩くと、アジサイの花が並んで咲いているところがある。

カタツムリが座っている。

最近は、あまり見かけないらしいが、ここら辺はよく見かける。


近くの池では、カエルが合唱している・・・


雨が傘にリズムよく当たる。

一種の芸術だ・・・


雨の日は、町を歩く人が少ない・・・

人嫌いな僕は、それも魅力だ・・・


しかし、同じ事を考える人はいるもので・・・


決まって、雨の日に見かける女の子がいる。

最初の頃は、全く意識していなかったが、何回も会うと、さすがに顔を覚えてしまう。

そして、会うたびに会釈だけは、するようになった・・・


そして、「こんにちは」と、挨拶するようになった。


登山を趣味とする人は、すれ違った時に、知らない相手でも、

「こんにちは」と、挨拶をするが、それと同じ感覚だろう・・・


でも、毎回同じ場所で、同じ時間帯に出会うと、不思議になる・・・

互いに、「ストーカー?」と、疑いの心があるのではと、疑心暗鬼になる。


そのために、時間をずらしたり、場所を変えたりしているが、どうしても会ってしまう。

でも、「偶然だろう」と、気にしなかった。


だが、さすがにこう何回も重なると、気になる。

「名前だけならいいか・・・」

そう、思い声を掛けてみる事にした。


すると、向こうも同じことを考えていたらしく、

「あの」「あの」

声がはもってしまった。

「そちらからどうぞ」「そちらからどうぞ」

また、はもった・・・


こちらから話すしかないか・・・

「よくお会いしますね」

「そうですね」

「雨、お好きなんですか?」

「はい。あなたもお好きなんですね」


しばらくして、女の子のほうから声をかけてきた・・・

「どうして、雨がお好きなんですか?」

「全てを洗い流してくれるから・・・ですね・・・」

僕は、真面目に答えた・・・


「私もです」

女の子も同じだったようだ・・・


こうして、彼女とは雨の日に会って、

立話するのが、日課となった・・・


でも、互いの名前は教えていない・・・


雨がもたらす、ひとときの出会い・・・

それも、またしゃれていると思う・・・

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雨の日に 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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