加工七割チャンジャすまいる

ナカタサキ

生ビール(エッセイ)

「最近、生が異常に美味しい」


 久しぶりに会った友人と遊んだ。以前は毎週の様に会っていたが、私が療養ニートを脱して入社した所が忙しくて全然会うことがなくなっていた。久しぶりなんて感じさせないほど十年来の友人は変わらず、いつも通りの私たちだった。

 ぶらぶらお店を見て居酒屋が開くまで時間を潰す。これが欲しいんだよね~あ~そうなの~スマブラ~~~! 等、割愛するがゆるい時間でした。(ニンテンドースイッチのスマブラ、私は買うと思う)

 そして冒頭に至る。

 最近のナカタは、生ビールが異常に美味しいと感じる。好奇心と推しへの愛でひとり乗り込んだアニクラ(アニソンが流れるクラブ。オタクが集まる愉快な空間)で、ぼっちの寂しさを紛らわす為にひとりビールを延々と煽っていたし、会社の飲み会でも何故か瓶ビールオンリーをキめていた。(ビール好きが集まる卓に着いてしまったのが運の尽きであった……)

 女の子ならカシオレとか可愛いカクテルを飲む人も多いけど、ナカタ氏はその辺の可愛さより自らが楽しくなるために生ビールを所望するし、誰かが日本酒を頼んだら「私も飲みたいからお猪口追加で……」と遠慮無くいってしまうタイプである。あんまり強くない癖に、アルコールによる快楽を理解しているので質が悪いですね!

 だがアルコールについての質の善し悪しは付き合いの長い友人の前では意味を成さないものである。十年も友達をやっていればお互いの性格も理解しているしお互いのやらかしたエピソードも知っているし、もちろん友人もお酒が大好きなのだ。これを類は友を呼ぶというのでしょう。大人になった私たちは明日が仕事だと言うことを念頭に置いているので無茶はしない。翌日を見越して、夕方四時にアルコールをキメているのだ。


「ビールが美味しいってストレスとか関係あるらしいよ」

「まじか~最近社畜を極めてるからね~」

「ぴーちゃんは早く転職した方がいいよ」


 ナカタは友人から『ぴーちゃん』と呼ばれている。何故ぴーちゃんなのかは長いから割愛するが、本名にかすりもしないあだ名だということは明記しておきます。

「ほんとそれね! なんか最近、タロット占いをして貰ったら仕事辞めるって出たんだよね~笑った(笑)」

「笑う~(笑)」

 アルコールもはいっていたし、何を話したかはあまり覚えていないがとりあえず楽しかったです。記憶は飛ばしていません。ナカタは大人なのです、無茶な飲み方からは卒業しました。カクテルより生ビールが好きな立派なレディなのです!

 アルコールはストレス発散に効果のある飲料だということは周知の事実だろう。お酒を飲んでると楽しいし気分は上がるし、笑い上戸のナカタは永遠に笑っている。きっと箸が転がるだけで笑うだろう。世の中には泣き上戸という人もいるらしいが、泣くことはストレス発散になるからめいっぱい泣けばいいともう。だが絡み酒のやつ、テメーはだめだ。

 ここでひとつの疑問が生じました。

「ストレスによってアルコールが美味しく感じるのか、アルコールによってストレスが解消されるからアルコールが美味しくなるのか」

 ……卵が先か鶏が先かみたいな、しょーもない謎ですね。東の名探偵(未成年)に話したら鼻で笑われそうなくだらない話です。

「ぴーちゃんこれからカラオケいこ~」

「いいね~いこ~」

「あれ歌ってよ」

「なに?」

「……U・S・A!」

「おっけ、任せて。振り付け有りでお送りするわ」


 くだらない謎はカラオケの楽しさで溶けて消えるし、仕事の些細なストレスもアルコールによって弾けて消える。毎日がくそみたいに最低でもたまに最高に楽しい瞬間があるからまだ生きようって思うし、未来のことなんて分からないけど今日が楽しければそれでいいやっていう短絡的思考に興じるのもなかなか楽しい。

 明日死ぬかもしれないから毎日を楽しく過ごしたいし、刹那的な思考も小説には役に立つから私にとって基本オールオッケーだ。未来のことなんてまだ何一つ分からないことを若さ故のアレっていう風に雑に片付けて歌い踊りにカラオケへ行った。

 カーモンベイビーアメリカ。

推しのUSA動画はとても格好良くて可愛くて癒やされるので、推しがいる日本最高だな~くそなことも多いけど! いつかアメリカ行きたいな~なんて適当なことを考えながら今日もナカタは生きています。

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