安藤さんはアンドロイド
明日原たくみ
第1話 安藤さんと出会い(前編)
進化した人工知能の
見た目はどこからどうみても女子高生。肌の質感も人間そのものだ。しかし彼女はあくまでAIを搭載したアンドロイドであって、決して人間ではない。
AIは人間と自然に共存できるのか。そんな開発者の意図を秘め、彼女は転校初日を迎える。
―――
栄愛学院高校 1年2組
僕の名前は「
僕の座席は、1番後ろの窓際の席だ。アニメの主人公がよく
くそう、高校入ったら自動的に彼女ができると思ってたのに、所詮は砂上の
そういえば、今日は転校生が来るとか言ってたな。季節外れだなぁ、とも思ったがこれはチャンスだ。転校生なのだから、そいつには自動的に友達がいないことになる。つまり、僕と同類だ。僕はこの機会を活かし、転校生と友達になる!
僕はいつも以上に燃えていた。どんな人が転校してくるのだろう。いい人だったらいいなぁ、と理想を膨らませているうちに、朝のホームルームの時間がやって来た。
担任が教室に入ってきて、僕らに向かって話し始める。
「はい貴様らおはようございます。今宵は転校生を紹介すっぞコラ―。うい~入って~!」
クセの強い女担任の呼びかけで、転校生が教室に入ってきた。
教室内に「おおっ」という声がこだまする。転校生の正体は女子だった。正直に申し上げると、とても可愛い。
長い黒髪をなびかせ黒板の方を向くと、チョークで自分の名前を書き始めた。綺麗な字で名前を書き終えると、再び僕らの方に振り返る。
「安藤 愛子です。皆さん、よろしくお願いします。」
安藤さんが可愛い声で自己紹介をすると、教室に歓迎の拍手が響く。それにしても、安藤さんがアニメの登場人物のような声だったので、声優になることを心の中でおすすめした。
「・・・じゃあ、安藤さん。あそこの空いている席に座りやがってください。」
真顔の担任が僕の隣の席を指さす。隣の席をに目をやると、そこには誰も座っていない、文字通り空いている席があった。
おかしいな、昨日まで名前は知らないが誰か座っていたのに。なぜ空きの机になってしまっているのだろう。
そんな僕の疑問に答えるように、担任が説明を施す。
「あ~、昨日までそこの席にいた誰だっけ、えーと、たしか田宮だったか。田宮かな?うん、多分そうだ。そこの席にいた『田尻 晋太郎』なんだが、家の事情で転校した。安藤には、田尻の意志を継いでこれから頑張ってほしいと思うばかりだ。というわけで、全員
結局のところ田宮なのか田尻なのか。田尻は突然転校したのか。というか田尻は死んだのか。あまりにも情報量の多い担任の発言に、生徒たちは沈黙する。黙祷をするわけでもなく、担任を無視するかのように静かに佇む。
「こいつの発言にいちいち耳を貸していては負けだ」と、彼らは2ヶ月の間で学習したのだ。彼らはあくまで田宮(若しくは田尻)がいなくなったという事実だけを受け止めているのだ。
生徒全員から無視されているというのに、相変わらず真顔のままの担任に、どういう心情なんだろうかと疑問に思うが、考えたところで意味が無い。
そんなことを考えているうちに、安藤さんが僕の隣の席にやって来た。
「・・・。」
安藤さんは無言のまま、席に座る。緊張しているのであろうか、無表情のまま時刻は1限目を迎える。
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