I☆DOL!TOP☆

第1話☆目覚め

《さくら目線》


「…ん」

椅子に座りながらの最悪な目覚め。

ああ、勉強しながら寝てしまったか、と顔を上げる。

見知らぬ部屋。

見知らぬ女性。

8つの椅子。私が座っているものも含めて9つか。

7人の女性がすやすやと眠っている。

「あ、起きたの?」

背後から声がする。

振り返ると。私と同じくらいのショートの女性。

優しそうな垂れ目で、窓に手をあてている。

「星を見ていたの。山の中みたい…綺麗よ。」

ローヒールの黒いパンプスをこつりと鳴らし、こちらへ寄って来る。

「あの、誰ですか…ここは?」

私が聞くと、女性はああ、と頷く。

「自己紹介がまだだったわね。私は…」

そう言いかけた時。

「ねぇ、あんたら誰?」

さっき眠っていた女性が起きたようだ。

振り向くと、ちょっとキツそうな茶髪でカールした胸までの髪をポンパドールにしている女性がこっちを見ていた。

派手な服装。

「ちゃんと返すって言ったじゃん。何?こいつらもなの?」

他の女性を一瞥しながら意味のわからないことを言われる。

「えっと…どういうことですか?」

「ん?ああ、あいつらの仲間じゃないわけ?じゃあいい、ごめんねー」

沈黙。

「いや、違う違う、どこここ?あんたら誰?」

自分でけらけらと笑う女性。

派手なメイクを筆頭にした大人っぽい雰囲気と裏腹に、意外と若い喋り方やノリだ。

「…みんなが起きてから一人一人自己紹介しましょう?何度も自己紹介するのは手間だと思うの。」

事務服のようなものを着た女性が言う。

「そうですね、それがいいと思います。」

「ん。おっけ。私もそれでいいと思うよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る