拝啓 魔法少女様

一般人H

第1話「逃走、少女」

「ウオォーッ!サイテイ、サイテイダーッ」


「きゃあぁ!サイテイダーが現れたわ!皆、逃げるのよ!」


突如としてこの街に「サイテイダー」と呼ばれる化け物が現れるようになってから、二週間が経った。 粘土で作られたような身体に、無理やりくっつけたようなカメラのレンズのような顔。そんな見た目をした奴らはどこからともなく現れ、15人程を攫っては何処かへと消えさる。という行動を何度も繰り返していた。その体格は3mの小さな個体もあれば、15m程の大きさの個体まで襲って来た事もあった。いや、今まさにソイツに襲われている。

...襲って来る時間は決まって朝は5時、夜は18時であった。と思う。


『図書館近くにサイテイダーが現れました。近くに住む方は家の中に入って、家を出ないようにして下さい』


5日前からはこんなアナウンスも流れ始めた。正直言って無駄だと思う。何故ならば。


「ハァッ、ハァッ...逃げ切れっ、ないし...!」


逃げ惑う人々の中でも私だけ飛び切り足が遅く、どんどんヤツとの距離が短くなってきたその時に、小さな子供を抱えた青年が叫んだ。


「あそこの商店街に逃げ込もう!」


その距離...60mくらい...?無理でしょそんな距離!無理、無理、追いつかれる!


でもこういうのはアドレナリンとかで何とかなったりするかもしれない、大丈夫!あと少し!


50、40、30、20、10....


「間に合っ....ふぐあぁっ...!?」


間に合ったと思って一瞬気を緩めたのがいけなかったか、元々駄目だったのか...私の身体は地面から離れてしまったのだった。


「嫌だー!誰かっ、誰か...死にたくない!やだっ...」


捕まったら最後、助ける事なんか出来た試しは無い。

おかげさまで私の叫び声もなんとむなしいものか。...まあ、私で良かったのかもしれないとも思う。他の人よりは...


「その心意気、気に入ったんじゃしん!」


「グェ...え?」


今にも食べられそうな私の前に現れたのは


「オレっチの名前はマウォー!じゃしん!オレっチと一緒にこの街を救って欲しいんじゃしん!」


宙を舞う、謎生物的マスコットキャラクターでした。


「どうじゃしん、ユリ!」

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