美幸と猫とハーブティ

佐野美幸

第2話 猫湯たんぽ

 暑い。この真夏だって言うのに、セレムとつっくんは美幸にへばりついている

 こいつらは暑くないのか? エアコンの温度を1℃下げる。

 明日は就労支援の日だ。猫たちは、なんと言って送り出してくれるのだろう。

 だが、美幸は眩暈を起こし、朝から寝ている。

 猫たちはそれぞれに心配をする。

 セレムなんか美幸にベッタリだ。

 暑い。

 そう言えば、昨夜、睡眠薬を飲んだにもかかわらず、何度も目が覚めた。

 寝不足か? 美幸は思う。

 猫たちは、美幸が部屋から出ないとわかると、それぞれに散らばって寝ている。

 「きゅいん」(どうしたの?)

 心配そうに美幸の上に、どかり、と上がり込む。

 重いっ、暑い‼

 セレムの気持ちは有り難いが、かえって悪くなる。

 セレムをひっぺがし、美幸はのそりと冷蔵庫からペットボトルを出し、直接口をつける。よくない行為だと分かっていても、ついやってしまう。

 シャモンが、片目を開けながらじっと見ている、

(美幸姉ぇ悪いクセね)

 だってコップをだすのが面倒いんだもん。

 ペットボトルをしまうと、ふたたびベッドへ。

 今日はプラゴミの日だけど、ととも出しに行けない、

 ベッドに横になると、尽かさずセレムがやって来て猫湯たんぽになる。

 あ、暑い。冬はありがたいけど、夏は辛い。

 今日も猫湯たんぽに悩まされる美幸だった。


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