第39話 坂田真太郎の記憶

~1836年の異世界~

僕は10歳で家は百姓をしていた。だけど僕は武士に憧れ剣術を独学でやっていた。


山に山菜を取りに行った帰りに何やら揉めている人達がいた。


「おう。兄ちゃん金目のものを置いていけ! 」

山賊がふたりいて、お兄さんを脅している。


僕はいつも持ち歩いている木刀を手に持った。

「無礼な! わしはひいらぎ家の侍じゃぞ」


「柊家の人間がこんな所にいるわけねえだろ! さっさと出せ! 」


「やめろ! 」

僕はお兄さんの前に立って木刀を構えた。


「なんだ? このガキは? 」

「やめなかったらどうするんだ? 」

山賊達は笑っている。


「痛い目にあうよ」


「ははは!やってみろよ」

僕は木刀で山賊たちを瞬速でなぎ倒した。

山賊達は気絶している。


「お兄さん今のうちに! 」

僕はお兄さんの手を引っ張りその場から逃げた。

僕の家に案内した……。


「いやあ。お主は強いのう。わしも負けてはおらんけどな。やってみるか? 」


「うん」

僕はいろんな人と戦ってみたかった。

僕は家にあった木刀をお兄さんに渡した。


「いくぞ!」


─カンカンカンカン


僕達は打ち合っていた。このお兄さんほんとに強い……


─カキー──ン


僕は木刀を弾き飛ばされてしまった。


「攻撃力はあるが守りが弱いな」


「お兄さんほんとに柊家のお侍さんですか?」

本物のお侍さんには初めて会った。

カッコイイ!


「だからそう言ったじゃろ? おぬしはどこで剣術を学んだのじゃ? 」

お兄さんは笑っている。


「誰からも学んでないです。武士になりたくて……自分で……独学です」


「独学じゃと!?」

なんか言ったらまずかったかな?


「良かったら剣術家のところでちゃんと学んでみないか? 」


「学んでみたいです」


「わしの名は柊愛長ひいらぎつぐなが。その代わり大人になったらわしの家臣になるんじゃぞ」

こうして僕は憧れの武士になれた。

これが柊愛長様との最初の出会いだった。


~1841年の異世界~


僕は剣術や勉学を学びついに柊愛長様の家臣になった。愛長様は柊家の当主になり、僕は飛び級で出世した。そこで須藤久信すどうひさのぶと初めて会った。


「私は須藤久信と申します。わからないことがあったら聞いてくれ」

気さくな感じでとてもやさしい人だ。


「愛長様!また1人で勝手に外出なさったのでしょ! 」

「いやあ。もうすぐお子が生まれるからその準備をな……」


「そういうことは家臣に言いつけてくださいませ」

愛長様は自由奔放で手を焼きました。


「なあ、真太郎……本当の恋ってどんなのじゃろうか?」

「わたしくにも分かりませぬ」

僕はまだ初恋をしてなかったのでわからないと言うしかなかった。


「ワシはちゃんとした親になれるかのう? 」

女中が入ってきた。


「愛長様! お子がお生まれになりました!可愛い姫君でございます! 」


「まことか!?すぐ行く」

僕と愛長様は側室の元に向かった。


そこには素晴らしく可愛い姫君がいた。

愛長様は姫君のことを、抱っこした。


「可愛いのう。この子は雲母きららと名付ける」

これが僕と雲母様との初めて出会った時のことだ。


~1847年の異世界~

「愛長様最近小衡こひら村ばかり行ってませんか? 」

僕は愛長様にそう言うと、愛長様はぎくっとわかりやすく動揺した。


「やっと運命の人を見つけたって感じがするのじゃ」

愛長様は幸せそうに笑った。


「あそこは1人で行くのは危険です。はこべ様を早く側室に致しましょう」

僕も笑ってしまった。


「もしわしがいなくなったらこの刀『さく』を埋めてくれんか?争いごとは嫌じゃからな」


「承知致しました」

僕は愛長様から名刀『朔』を預かった。


~1848年の異世界~

「愛長様がはこべ様を庇って何者かに斬られたらしい」

久信から聞いて突然の事で僕は頭が真っ白になった。


「久信!愛長様は大丈夫なのか? 」

僕がそう言うと、久信は頭を横に振り、髪の束を僕に見せた。


「誰がやったんだ!?」


「おそらく愛長様の弟、愛秀つぐひで様かと」

僕は憎しみと怒りでいっぱいになった。


「敵討ちしに行くぞ……!」


「待て! 真太郎! はこべ様から聞いただけで証拠もない! それに愛秀様は雲母様を養子として受け入れさらに我々も受け入れてくださるようだ。雲母様のためには……。敵討ちするのは賢明ではない」


敵もそうやって我々愛長様の家臣が敵討ちしないように策をたてたな。雲母様のことを考えれば……確かに久信の言う通りだ。


愛長様の言う通りに僕は裏山に朔を埋めた。


~1858年の異世界~

雲母様17歳、僕は32歳、久信は37歳になった

雲母様はとても可愛い大人な女性になった。また賢くやさしい雲母様は人気者だった。


「真太郎! ごきげんよう」

僕も雲母様に恋心を抱いているひとりだ。


そんなある日雲母様は愛秀様に輿入れを提案された。提案というより強制だが……


雲母様は町にお出かけになりたいと僕を呼び出した。護衛は僕だけだった。


「雲母様。護衛はわたしくだけでよろしいのですか……? 」


「はい。真太郎は強いから1人でも大丈夫でしょう」


それだけ信頼されてるのは嬉しいけど、こんなこと珍しいな。


雲母様は街を通りすぎ山の方へ……


「雲母様どこへ行かれるのですか? 」

僕は心配になってきた。


「こちらをご覧なさいませ。真太郎」

辺りを見渡すと桜が咲き乱れていた。


「ここを真太郎に見せたかったの。私の輿入れについてどう思う? 」


「愛秀様がおっしゃるなら行った方がいいかと」


「そうじゃなくて……1人の男として真太郎は嫌かどうかってこと」

何が言いたいんだろう……


「正直寂しくは思います」

すると、雲母様は抱きついてきた。


「き、雲母様? 」


「自由恋愛が許され、婚活まであるこの時代に…政略結婚なんて時代遅れです。私は嫌です。私は真太郎が好きなのに」

僕のことが好き?僕だって好きだから輿入れなんてして欲しくない。


「わたしくかて、雲母様のことをお慕い申しております」


「真太郎。私と逃げましょう」


僕達はそのまま逃げることにした。

1週間北へ北へ逃げた。その毎日が幸せだった。

これが本当の愛なんだろうな。

しかし、愛秀様の追ってが来てしまった。


「雲母様お逃げてください! 」


「真太郎は……? 」


「後で行きますから」


「真太郎! 約束よ」

そう言うと雲母様は逃げ、僕は追手を阻止した。

僕はひとりで戦ったが多勢に無勢でそのまま倒れてしまい、意識を失った。

そこで、僕の記憶は途切れた。

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