第37話 桃井編 しっかりして!
~戦いから数時間前~
私
連絡待ちという役目を与えられました。
おそらく黒幕は笹野さんのお兄さんだから傷つけたくないと。
橘さんのそういう所は好き(今は友人として)ですが、
─プルルルルルルルル
私のスマホが鳴りました。表示された名前は《
電話 桃井
『もしもし、桂です。今猿社長どうされましたか? 』
電話 今猿社長
『もしもし、如月と連絡がつかないんだが』
あっ……如月さんは今は橘さんと戦いの計画を練っている時間ですね…今猿さんには『言うな』と言われてませんでしたね。
私は如月さんと
電話 今猿社長
『なるほど。ありがとう!
電話 桃井
『今猿社長も戦いに参加するのでしょうか? 』
電話 今猿社長
『そうだな。ありすを苦しめたやつは許せないからな。たとえありすの兄だとしても。それじゃあまた』
ここで今猿社長との電話は切れました。
こんなにたくさんの人が頑張っているのに笹野さんだけ知らないなんておかしいです。
私はいてもたってもいられずに笹野さんの家に向かいました。
笹野さんの家は高そうなマンションの一室です。
─ピンポーン
私は笹野さんの部屋のインターホンを鳴らすと笹野さんはすぐ出てきました。
「はい。桃井さん……いえ桂さんどうしたんですか? 」
笹野さんは私が突然来たことに驚いているようです。
「大事なお話があります」
「どうぞ、外は寒いので中へ」
笹野さんは私の表情から察したのか部屋の中に入れてくれました。
笹野さんは温かい紅茶を出してくれました。
「話って橘くんのことだろう? 」
「は、はい。何で分かったんですか……? 」
まだ何も言ってないのにわかるなんてエスパーでしょうか? それとも私がわかり易すぎるのでしょうか?
「橘さんは黒幕と戦う計画を立てています。とっても危ないことをしようとしています」
「橘くんが黒幕を探していることは前から知っているよ。危ないこととは何かな? 」
笹野さんは全く動じません。
「今日の
「なるほど。橘くんは今日狙われる何かを知ってしまったんだな。さしずめ黒幕の正体だろ? 」
笹野さんはなんでそこまで分かるのでしょうか?
橘さんの約束だから黒幕の正体は言えません。
「それは言えません」
「違うと否定しないということはそうなんだな。しかも私に言えないということは私の知り合いなんだな? 黒幕は誰なんだ? 」
笹野さんは立ち上がって私に詰め寄りました。
やはり黙っておくなんてダメです。
「笹野さんのお兄さんです」
「えっ?兄さんが……?あの時天沢くんが言っていた例の黒幕の最強異世界人だと?」
《「あの方とは誰なんだ!? 」》
《「教えられないね。最強の異世界人ということしか」》
笹野さんはその場に崩れ落ちました。
「橘さんを助けに行かないんですか? 」
「私には出来ない……最強異世界人をやっつけることも兄さんを傷つけることも……」
笹野さんが珍しく弱気になっています。
「今猿社長も如月さんもみんな!笹野さんと橘さんのために戦うんですよ! 」
「
笹野さんは悩んでいました。慕っていた兄が敵で初恋の人と自分の恋人が危険な状態なのだから悩みますよね。
「しっかりして下さい! 説得してみるだけでも違うかもしれないじゃないですか! 」
「わかった!行くよ。
笹野さんはタクシーを電話で呼び、私はタクシーで自宅まで帰らされました。
衝動的に全部笹野さんに話してしまいましたが大丈夫でしょうか?
あとから後悔してきました。
橘さんに怒られるぐらいで済んだらいいのですが……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます