第29話 馬鹿とアホの戦い
青柳くんに
TOIN
『空気刀改を盗んだやつを捕まえました』
TOIN 青柳くん
『よくやった!空気刀改はどこにある? 』
TOIN 橘
『今警察が預かっています』
TOIN 青柳くん
『警察なら安全だが、返してもらうには時間がかかるな。もうひとつ試作品を作り直すよ。ちょっと待ってて欲しい』
TOIN 橘
『了解しました』
TOIN 青柳くん
『空気刀改を使う時はうちの会社でしてくれないか?儀式も見てみたいし、空気刀改はうちの大事な商品だから』
TOIN 橘
『わかりました! 』
なかなか分離術が出来ないな。
~後日~
ある休みに僕は
「やだやだ。童貞を本気にさせると怖いな」
そうやって言ったのは、
「何で縁しか誘ってないのに不知火まで来るんだよ……?」
「いやあ。悪い悪い。駿一と権太同時に飲みに誘ってきたからさあ」
縁は笑いながら謝った。
「いい加減諦めろよ。これ以上は蔵子さんの迷惑になるだけだろ? 」
不知火が僕に説教してきた。
「蔵子さんは僕のこと好きだと言ってたんだよ……」
僕は不知火を睨む。
「でもその黒幕を叩けば障害はなくなるんじゃないか? 」
縁がジョッキに入っているビールを飲み干して言った。
さすが!縁!その黒幕さえ倒せば障害は無いはずだ。
「黒幕はやばい裏世界の人かもしれないだろうが」
不知火は僕を睨む。
「僕には秘密兵器があるんだよ」
僕は酔っ払っていたからか……権蔵のことや青柳くんがサイバーな世界の異世界人だったことや黒幕が最強の異世界人であることを2人に話した。
「はあ? い、異世界人? 蔵子さんに振られ過ぎて、頭がイカレちまったのか? 」
不知火は全然信じていない。
「ほんとだよ! バカ! 」
僕はなかなか不知火が信じなくてイライラしていた。
まあ……普通に考えたらありえないもんな……
「確かに青柳くんの会社の商品って現代科学を超えてるよな」
縁は真面目に信じたようだ。
「まあ…蔵子さんも異世界人の存在を認めてるなら仕方ないな。信じよう…。俺TUEEEEじゃなくてあいつTUEEEEなんだぞ! 蔵子さんはやめろって言ったんだろ? それでも探すのかよ? 」
不知火はかなり戸惑っているようだ。
「そいつを倒さない限りは蔵子さんが平和に過ごせない……蔵子さんと一緒にいれなくても、僕はやるよ! 」
「偉いな! 愛する女性のために命をかける。そして蔵子さんも命を懸けて橘を守ってきた。愛だな」
縁が僕の肩を叩きながら言った。
「ワシでもその異世界人に勝てるかわからんぞ。あれだけ天沢にたどりつくまで、ワシでも分からんかった……相手はかなり手強いぞ」
なんか戦いに行くのがおっくうになってきたじゃないか!
いつも楽観的な権蔵が心配するなんて……相手はどんなやつなんだ。
「つい最近まで守られていたことに気づかなかったくせに……あーあ俺も蔵子さんに守りたいと思うぐらい愛されたかったな……何で橘なんだよ」
不知火は
「それは愛だよ。ふふふ」
僕は優越感に浸りながら、笑いを堪えて言った。
「そういえば15年も両想いで何で進展しないんだ? 」
縁がなにげなく言った言葉が胸に刺さった。
「違う。違う。ふたりは両片想いなんだよ!だから想いは通じあってないんだ。俺は蔵子さんと付き合えただけマシだな」
さらに不知火が追い打ちをかける。
「不知火のは…フリだろうが! 蔵子さんが好きだったのは僕だ」
「あの時脅迫したやつが
僕と不知火は睨み合いをする。
少なからず、不知火と結婚しないだろ……
「ふたりとも喧嘩はやめよう」
縁が真ん中に入って仲裁する。
「それで一生懸命証拠を探していたのか。」
僕は睨み合いをやめ、ぽつりと呟いた。
「なんだよ……橘……気づいていたのか」
不知火の耳には聞こえたようだ。
「でも証拠を見つけたら不知火と付き合う必要はなくなるんじゃないか? 」
縁がジョッキのビールを飲み干して言った。
「それは…蔵子さんが苦しんでるのを見てられないからさ」
「見直したよ。蔵子さんを想う気持ちは同じってことか……」
僕はビールを一口飲んで言った。
「おまえの一途さには負けるさ」
不知火もビールを一口飲んで言った。
「よし!同士としてこれからは仲良くしような。ほらふたりとも握手だ!」
縁が僕達に握手するように促した。
僕と不知火は握手した。
~数分後~
唐揚げがひとつだけ残っている!
唐揚げは僕の好物だ。ラッキー食べてしまおう。
唐揚げを箸でつかもうとしたら……不知火も唐揚げを取ろうとしている。
「僕のが早かった」
「いや……俺のが早かった」
不知火も負けていない。
「僕は唐揚げが好物なんだよ……譲れ」
「俺だって唐揚げ大好きなんだよ……お前こそ譲れ」
僕達は箸で唐揚げを取り合っている。
「あっ蔵子さん! 」
不知火がそう言って、入口の方を見た。僕は後ろを振り返り蔵子さんを探す。そのすきに不知火は最後の唐揚げを食べた。
「相変わらずバカのようだな」
不知火は笑っている。
「騙したな。この野郎戻せ。唐揚げ戻せ」
「蔵子さんは譲ったんだから唐揚げ1個ぐらい良いだろ!」
さっき不知火のことを見直したのは間違えだったようだ。
「好きなものが同じ過ぎると揉めるんだな……すみませーん。唐揚げひと皿追加で」
縁が呆れて唐揚げを注文していた。
「こいつらは仲良くするのは無理みたいじゃな」
権蔵も呆れていた。
─プルルルルルル
誰かから電話がかかってきた。
電話 橘
『はい。もしもし。橘です』
電話 《?》
『もしもし。
電話 橘
『如月さん?!どうしたんですか?』
如月と僕が言ったら、不知火がピクっと反応した。
電話
『明日お話出来ないかしら。いろいろあったでしょう』
電話 橘
『分かりました。明日いつものカフェで』
僕が電話を切ると不知火が睨んでいた。
「明日……
不知火……海未ちゃんって……
「そうだけど……どうした? 」
「蔵子さんがダメだったら海未ちゃんに乗り換えるつもりだろう! 海未ちゃんは俺が狙ってるの! 」
何を言ってるんだ。こいつは。
「如月さんはやめろ! 馬鹿」
如月さんみたいな人には
「やっぱり狙ってるんだな!?」
不知火は僕を睨む。
「いや。如月さんと不知火が結婚したら、蔵子さんと結婚したあとにしょっちゅう不知火と会うのが嫌だからだ」
ダブルデートとかしたいのに……不知火だと楽しめない。
「おまえ! アホか!? 今の状況で、蔵子さんと結婚出来るわけないだろ! 」
不知火は全否定した。
「橘は……ほんとに小豆沢さんのことしか考えてないな…駿一安心していいみたいだぞ」
縁はさらに呆れていた。
「
権蔵も同じく呆れていた。
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