俺ガチャその4「二本とも走らせる」

未来は僕らの手の中

 銃拳使いと自動人形によるバトルフェイズ。

 切断死体の謎を追うミステリーフェイズ。

 混ざりそうにないこの二つの線を、頑張って混ぜようとするから答えが出なかったのだ。混ぜること自体に無理があったのだ。


 長い時間を掛けてようやく引き当てたガチャの答えは、いたってシンプルだった。


 そのまま線を二本とも走らせる、だ。


 バトルフェイズとミステリーフェイズ、この二つを交互にやることで小説に二本の線を走らせ続けるのだ。

 混ざらない二つを構成でカバーする。

 それが僕の出した答えだった。

 そしてまたここで、ミステリーフェイズを担当する探偵役を新たに設定する必要が出てきた。

 探偵役は街の歴史や地理に明るく、人々に聞き取り調査を行って事件の真相にたどり着こうとする、その中で、バトルフェイズの二人と交錯することになる……。


 よし。これはいける。

 僕は確信した。

 あとはこの探偵役に、前述のアクの強い二人と対峙できるほどの強い個性を持たせてやれればこの話はいいとこまでいく。


 いや――竜斬を超えてくる。


 考えただけでドキドキする。

 可能性があるということのなんと素晴らしいことか。


 そしてこの地点で僕は「刃物の切れない世界で見つかった切断死体」のトリックガチャを引き当てていた。

 多くは語らないが、この答えにたどり着ける人はなかなかいないんじゃないだろうかと僕は思っている。それぐらい解答は推理の斜め上にぶら下がっていた。


 あとは銃と球体関節人形とマカロニウエスタンの資料を読み込みながら細かな設定を決め、丁寧に箱書きを切っていけばいい。

 順調にいけば十一月後半には書き始められるだろう。

 今の僕の出力は一ヶ月で三~四万字。

 第4回カクヨムWeb小説コンテストにぎりぎり間に合う数字だ。

 

 でも……僕は知っている。

 僕の作品はコンテストに入賞しない。

 そんなことはどうでもいい。

 トレンド? 流行? 読者受けするキャラ?


 どーーーーーーーーーーでもいい!!!!


 僕が一番面白と思ったものを全力でぶつける。

 読んだ人を驚かせる。

 それだけだ。

 本当に。


 たくさんたくさん遠回りして、僕はここに立っている。

 怖いものなど何もない。

 何もないと言うことは、何でもありだ。最高だ。


 箱書きを仕上げて書き出しをやって、うまく離陸させてやれたなら、十二月一日に新作長編として発表することが出来ると思う。

 その時はよろしく。

 いっしょにドキドキしてくれ。頼む。

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