ローリングストーン

 で、アイデアの転がしである。


 僕はオーソドックスに“なぜ?”で転がしてゆくことが多い。

 アイデアの穴を埋めるような感覚。

 うまくいけば別のアイデアとうまく結びついてくれたりすることもある。


 Q:なぜ少女は剣を飲み込むのか?


 んー、齊藤が飲ませたいからでは小説にならない。

 そこにはこじつけでもなんでも最低限の理由がなければならない。


 転がして転がして沢山捨てて、最終的に出てきたのは魔剣だった。

 「少女は魔剣を飲み込む」。

 そして「その力を腕に宿す」。


 よし。綺麗にはまった、と僕は思った。

 美少女同士が装備した魔剣を飲み込み拳で殴り合う。

 ある者は腕から雷撃を放ち、ある者は炎を打ち出し、ある者は真空波を地に穿つ。

 絵面は抜群だ。

 剣を飲み込み戦う少女達。

 かっこよく書けそうな予感がした。


 この地点では、次作はバトルものになるのだろうと僕は思っていた。

 だが次の次のアイデアが、その根幹を良い方向にねじ曲げることになる。


 次項ではそのねじ曲がる一歩手前の話をしようと思う。



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