ライトノベルをぶっとばせ!

齊藤 紅人

俺ガチャという結論とそこに至るまでの経緯

再始動、のはずだったのだが

 ――2018年10月1日現在。


 僕は長編小説『竜斬の理』を書き上げてから今日まで、コンテスト用の長編小説を一作も書いていない。

 スランプ? 違う。全然違う。

 書きもせずにスランプになんてなれない。

 書いていない僕がスランプになれるわけがない。


 そもそも『竜斬の理』にかかった手間が、自分の中で膨大過ぎたのだ。

 巨大な竜を手術する、というアイデアを起点に物語の大筋が見えるてくるまでに二年。そこから手術の描写のために医療関係の書籍を買い漁り(神大病院内の本屋で専門書を買ったりもした)、剣を造るシーンのために備前長船刀剣博物館まで取材に行き(実際に小刀を造って焼き入れもした)、他にもあれこれやりながら実際に執筆するのに一年半。

 三年半かけて出来上がったのは十七万文字の大長編。

 最後まで書き上げたとき、これは最高傑作だと思った。

 色々と出来の悪いところもあるけれど、巨大な竜を手術するというアイデアは斬新で、当時はまだどこにもなかった(翌年にアニメ『竜の歯医者』の発表があったときはちょっと凹んだ)し、新人ならではの勢いが物語に上手く投影されたんじゃないかと思う。何より面白い物を書けたという確かな手応えがあった。

 

 笑ってもらってかまわないのだけど、僕はこれで世に出るんだと本気で思っていた。


 まあ結局のところ、そうはならなかった。

 『竜斬の理』は読者に受けなかった。

 いや、面白がってくれた人は少なからず存在した。

 ☆も現状で190はあるし、コメントやレビューもありがたいことに非常に前のめりに書いてもらえたものが集まった。

 でも選考には通らなかった。

 選考に通らなければ、書籍化されることはない。

 書籍化されなければ、世に出ることはない。


 落ちた理由を自分なりに分析し、原因をおおよそ掴むことができた僕は、それを踏まえて次作をとアイデアを出し、一本のプロットを仕上げた。

 プロットの出来は概ね良い物ができたと思っている。ライトノベルとして読者に受けるであろう要素をほとんど全部詰め込めていたからだ。

 照準をカクヨムコン3に合わせ、あとは執筆していくだけだった。

 だが、僕にはそれができなかった。


 続きは次項で。

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