素敵な休日の過ごし方

勝利だギューちゃん

第1話

朝、スマホのベルで目が覚めた・・・

「もしもし」

「あっ、秀行くん、今から来れる?」

「琴美さん?今日は・・・」

「じゃあ、いつもの場所で、10時に待ってるね」

俺は、まだ何も言っていないが・・・


まっ、いっか・・・暇だし・・・


早速、身支度をし、朝食を食べ、歯磨きをし、

家族に声をかけ、出かける事にした・・・


シャワー?そういう状況には、絶対にならないので、必要なし・・・


待ち合わせ場所に行くと、すでに琴美さんが来ていた。

「遅いよ、秀行くん」

「そっちが早い・・・」

「まっいいか、行こう」

そうして、ふたりでならんで歩く。


思春期の男子が、同じ年頃の女子と歩く・・・

誰もが夢見る事だが、それが実現すると、やや恥ずかしい・・・


「ところで、どこへ行くかまだ聞いてないけど・・・」

琴美さんに訪ねた・・

「あれ?言ってなかったっけ?」

「うん」

「エヘヘ、なら内緒・・・」

「内緒?」

「着いてからの、お楽しみ・・・」

相変わらずだ・・・


「着いたわ、ここよ」

「ここは?」

焼き肉バイキングだった・・・


「さあ、入ろう」

「待って、状況がわからないのだが・・・」

「ペアの無料券もらったの?だから、君を誘ったの」

「なぜに俺?他にも友達がたくさんいるだろ・・・」

悪態をついてみた・・・


「みんな、都合が悪いの・・・」

「俺は、消去法で選ばれたのか・・・」

「(鈍感)」

「えっ?」

「何でもない・・じゃあ、レッツゴー」

ふたりで入った・・・


お昼時なのか、店内は人であふれていたが、

琴美さんは、予約をしていたのか・・・

すぐに、座れた・・・


「えーと」

俺はメニューに手をやろうとした。

「それ、要らないわ」

「えっ?」

「もう、決まってるから・・・」

そう言うと琴美さんは、店員さんを呼び、先程の無料券を渡した。

店員さんは、「かしこまりました」と、受け取った・・・


「もうすぐ来るからね」

「うん・・・」

しばらくして、店員さんが運んできた。


その間に、いろいろと話したが、記憶にない・・・


「さあ、食べよう」

「ちょっと、待って」

「何?」

「これ、はんぱな量じゃないよ」

どう少なく見ても、5人前はあった。


「琴美さん、食べられるの?」

「ううん、私は食べないよ」

「えっ?」

「食べるのは君」

「俺?」

驚いた、なぜ俺が・・・?


「君は、がりがりに痩せてるよね?」

「生まれつきだ」

「でも、男の子はたくましくなくては・・・だから、君が平らげるの」

「出来ると思う?」

「やりなさい」

「無理」

「だめ」

「無理」

「食べなさい」

「出来ない」

「嫌いになるよ」

その言葉に弱い・・・


俺は、少食だ・・・

どう考えても、5人前なんて無理・・・

ていうか、5人前もひとりで平らげるなんて、普通は無理・・・


「じぁあ、最初から俺を、誘うつもりだったの?」

「今頃わかった?」

「嫌がらせか・・・」

「平らげたら、ご褒美あげるから」

観念するしかないか・・


俺は食べる事にした・・・

幸い、飲み放題でもあるようだ・・・

流し込もう・・・

幸い、時間制限はない・・・


俺は、ハシを取った・・・


琴美さんは、ただにかやかに、俺を見ていた。

「楽しい?」

「うん、とっても・・・」

「面白い?」

「うん」


一時間後・・・

どうにか、食べ切れた・・・

さすがに、しばらくは動けそうにない・・・


「よく食べきったね。えらい、えらい」

琴美さんが、頭をなでる・・・

「で、ご褒美は?」

「今の?」

「えっ」

「だから、なでなでがご褒美」

やられたか・・・


「さっ、次行こう・・・」

「えっ、終わりじゃないの?」

「どこ?」

「ケーキバイキング」

「俺を殺す気か?」

「甘い物は別腹よ・・・」


こうして、付き合わされた・・・


彼女の、意図に気付くのは少し後日になるのだが・・・

まっ、こういう関係も悪くないな・・・


ただひとつわかった・・・

「甘い物は別腹は、本当だ」

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素敵な休日の過ごし方 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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