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幸一は、空の小包を手に持ち、両手でそれをクシャリとつぶした。
部屋は静かだ。
とても、とても静かだ。
何事も無かったかの様に、聖夜にふさわしく、静かだ。
だから幸一は気が付かない。
彼のすぐ後ろに、白目の女が立っている事に。
彼女は、首を後ろに反らせた状態でゆらゆらと動いている。
彼女の足下には、黒く長い美しい髪が散らばっている。
彼女からは微かにシャネルの№5の香りが香っている。
彼女は細い指を幸一の首にゆっくりと伸ばす。
その事に幸一は全く気付かないでいた。
カサリッ……
彼女の足下の髪が小さく、小さく音を鳴らす。
カサリ……
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