混沌使いの使い方。

人喰いウサギ

序章 熱き灰と冷たき…。


【第0話:凍えし怪鳥の 断末魔。】



…渇いた 森の一画。


その黒い木立の中から 濃紺の中空へ、蒼き光源が立ち昇った。



しかし、羽ばたき輝くそれは…。

…巨大な岩塊の様な不吉な砂塵に、胴を砕かれ 突き破られる。



錆色の粉塵に、急所と思しき箇所を 貫かれたのだろう。

蒼き怪鳥は、声無き絶叫を長く上げながら…消え失せた。


そして 昏く深い森は、太古からの その真価を急激に 色濃く、発揮し始める…。



…静かになった漆黒と濃紺色の、闇の境界線上に。

怪鳥を滅した砂塵の操者の姿が見えた…。


…枯れ巨木の如きシルエットを揺する それは…巨体に似合わぬ滑らか かつ素早い動きで、かの境界より 更に暗き森の深淵へと同化し、程なく 見えなくなった。



「…………」


それらの光景を俯瞰出来る 一際 高き樹上に、森の深淵と同じく静かで 黒い影が立っていた。



それは、声無く小刻みに喉を鳴らし…。


「……ふ。私の勝ちの様だぞ…〈姫〉…。私の…私が用意した〈贖罪つぐない〉が 貴女の希望を…託した〈罪業つみ〉を、凌駕したぞ!…」

そんな…心底、嬉しそうな影法師の哄笑が…先程から吹き始めた宵の嵐に、掻き消されていった。

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