GLITTER RAGE

萬田 竜星

第0話 怒りの渦にて

 こんなはずではなかった。どうしてこんなことになってしまったんだろう。


 この力さえあれば、私は安心できるはずだった。私はあらゆる脅威を跳ね除け、あらゆる悪意を滅することができる。


 そう思っていた。そう思っていた。


 私が私を守ってくれる。だから私は安心して私でいられる。私自身によって私の幸福は保証されている。


 私に宿るこの光が、輝きが、目障りなゴミを、纏わり付く暗黒を焼き払う。


 だから私は何を心配することも無く、友達とお茶を啜ることができた。


 ところがどうだ。今となってはそんな幻想は脆くも崩れ去った。


 ご自慢の能力は悪目立ちし、噂は今や都市伝説か何かのように広まった。


 ……何が『星滅』だ。何が最強への挑戦だ。


 なぜ私がガキ共の火遊びに巻き込まれなければならないんだ。


 全部消し去ってしまいたい。八つ裂きにしてしまいたい。私には可能なはずだ。


 しかし、できない。私が動けば、更なる火種が飛ぶだけだ。


 故に耐えなければならない。


 しかし耐え難い。


 事の始末を他人に任せることのなんと不安なことか。


 他人にすがって安寧を得ることのなんと惨めなことか。


 エミィのことは大好きだし、頼りになると思っているけど、彼女に依存して、寄りかかっていなければ立てないのが情けない。


 どうして私が自分のことを嫌にならなければならないのか……


 書けば書くほどに腹が立ってきた。ストレスが溜まる。


 誰だ愚痴は書けば楽になるなんてデマを言いふらしたやつは。


 なんで私がこんな精神を病んだ人みたいな

ことをしなくちゃならないんだ。


ふざけるなふざけるなふざけるな全部あいつのせいだやっぱり殺し―


日記は、それ以上先は字が潰れて読めなかった。

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