第12話 花火
夜・・・
由梨の親戚の家に宿泊させてもらうことになったのだが・・・
真凜さんは、普段は1人暮らしをしているらしいが、
今日は、実家に帰ってきていた・・・
いや、遊びに来ていたと言った方が、いいだろう・・・
新婚さんらしいので・・・
プライベートなことには、首を突っ込まないでおこう・・・
「忠志くん、たくさん食べてね」
由梨が料理を運んできた・・・
「さすがに、こんなには・・・」
「男の子なら、根性で食べなさい」
「はい」
由梨の迫力に、頷くしかなかった・・・
いつもとは態度が違う気がするが、追及は止めておこう・・・
海の近くだけあって、魚料理が多い。
僕は好き嫌いが殆どないので、美味しく頂いた。
「忠志くん、お風呂入って」
「いいの?」
「うん。疲れたでしょ?」
場所だけに、温泉を期待したのだが、そこまでは行かなかったようだ・・・
「お風呂からあがったら、庭に来てね」
「わかった」
お風呂はとても気持ちよく、疲れが取れた・・・
あれっ、これって温泉なんじゃ・・・
まっ、いっか・・・
お風呂からあがると、浴衣が用意してあった。
「これを着ろ」ということか・・・
僕の服は・・・洗濯してくれているようだ・・・
庭に行くと、由梨が浴衣を着ていた・・・
「忠志くん、似合う」
「うん」
「ありがとう」
浴衣のに会わない、日本人女性は、まずいないだろう・・・
「忠志くん、これやろう」
そう言って、線香花火を差し出した。
断る理由もないので、頷いた・・・
線香花火に火をつける。
それを、ふたりで眺めた・・・
「打ち上げ花火もいいけど、線香花火のほうが、はかなくて、私、好き・・・」
「僕も・・・」
その時の由梨の顔が、悲しげだったのは、気のせいではなかった。
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