第10話 新たな力 下

それから数分、ルナと見詰め合っているとふと、ルナのステータスに変化が起きた。


ルナテリス・フィヤント

精霊神LV35

・天送・神の従者・魔道の極みLv10・気配探知Lv8


「スキル確認できるようになったみたいだ。ルナのスキルは天送、神の従者、魔道の極み、気配探知、ってなってるぞ。あと魔道の極みはレベル10で気配探知はレベル8になってる」


「神の従者? いつからルナはヘルトスの従者になったのよ。それに魔道の極みってなに? 気配探知は昔から気配に敏感だから分からないでもないけど、スキルだったの? レベルはスキルの熟練度ってことかしら。天送と従者には熟練度が存在しないからレベルがない、もしくはヘルトスからのスキルだからかしら」


「熟練度か、なるほど。でもスキルは確認できるようになったけど、スキルの効果が分からんっていい加減だよな。人物鑑定も種族分からんし、半端なスキルばかりなのか? おっと俺のスキルも確認するか」


九条仁

人族LV8

使徒LV8

力の指輪(神)

山賊王の太刀(神)

・神の使徒・神具鑑定・真実の瞳LV2・スキル鑑定LV1


 神の使徒と神具鑑定、スキル鑑定は分かる。真実の瞳ってのが、人物鑑定しているスキルか? レベルが2になっているな、って、あれ人族レベル8?


ルナを改めて鑑定してみる。


ルナテリス・フィヤント

精霊族Lv285

精霊神LV35

・天送・神の従者・魔道の極みLv10・気配探知Lv8


 あ、種族が増えて、ぶっ! 精霊レベル285って、いやいや他のヤツを見ないと強いと断言はできんよな。レベル百越えてるし上限がないならレベル千がいるかも知れない。


「俺のスキルは、神の使徒、神具鑑定、真実の瞳レベル2、スキル鑑定レベル1だ。多分真実の瞳ってヤツが俺の特殊人物鑑定の正体みたいだな。あと真実の瞳のレベルが上がったみたいで種族も見えるようになったみたいだ。ルナは精霊でレベル285だって。俺は人族レベル8だ」


「――そう、よかったわ。レベル35って言われた時はそんなに弱いのかなって思ったもの。レベルがあるスキルは使うことでレベルが上がり、性能が増すってことかしらね。でも、それならスキル鑑定は真実の瞳の上レベルのものじゃないかしら?」


「そういえば。え? もしかして俺がいらんこと言ったからスキルとしてくれたのか? 大人しく頑張っていれば真実の瞳でいずれ確認できるようになったのに……?」


「――でも、今確認できるようになったんだし良いんじゃない? ほら、もしかしたら真実の瞳レベル10で見れるようになったかも知れないし。それじゃかなり後になるわよ。スキルを貰ったからいろいろ分かるようになったんだし。――ほら、レベルが無いスキルは固有能力なんじゃないかしら。神の使徒や神具鑑定は間違いないでしょうし」


ルナの励ましが心に響くぜ。でも、ルナの言うとおりだ。スキル鑑定が手に入ったから色々分かるようになったんだ。

固有能力、ユニークスキルがあるってことも分かったしな。うん。そのさ。そうなんだ。


「そういえば神具何個でスキルが貰えるか連絡ないな。流石に世界に干渉してメッセージを送ることは出来ないのか?」

「スキルを与えている時点で十分に干渉しているわよ。向こうが何も言って来ないんだし、こっちで決めましょう。私は一つに付きスキル一個でいいと思うわ。世界の為に働くんだし、当然でしょ」


「流石にそれは無理だろ。神具が多すぎてバランス崩れてるんだし、神具三つでスキル一個が妥当だろ? その代わり三回に一個は激レアスキルを所望するぞ」

「あ、いいわね、それ。それじゃそんなわけだからね、ヘルトス。アンタのことだからキリよく五つで一個とか思っていただろうけど、変更しなさい。ジンが強くなる方がアンタもいいでしょ」


「よろしくお願いします! つーわけで三つ送ってみようか。とりあえず残りは――呪いのナイフって相手を呪うんだよね? え、副作用で自分もって言わない? 人を呪わば穴二つみたいな。……よし、一個目これで。あと空間の腕輪って移動能力だよね!」


 そうなら交易で荒稼ぎ出来るだろうし、移動が楽なんだけど。とりあえず付けるか。


「空間転移の魔法は一応あるけど、かなり魔力を使うわよ。転移魔法なら移動したい場所を思い浮かべて発動するからさっきの村を思い浮かべてみたら?」

「了解。――転移! ……無理か。んー、付けた感じ何か空間みたいなのを感じるんだけどな。こことか――うぉッ! 手が入る! あ、これアイテムボックスじゃね? 太刀を突っ込んでみるか。おっ、入るし、取り出せる。制限が分からんけど、いい物手に入れたな」


「アイテムボックス? ――それ、他人に知られないようにしないとダメよ。多分商人とか冒険者とかジンの腕を切り落としてでも手に入れたいと思うわよ」

「怖ッ! なに、なんでそうなる!」


「当たり前でしょ、この世界にそんな便利なアイテムないわよ。ダンジョンに潜るにしても荷物持ちを連れて行くぐらい何だから。入る量が分からないけど、ダンジョン攻略までの食料と替えの武具、消耗品とかが全部入るとしたら国が強制的にでも徴収するほどの価値よ。ダンジョンで最も手間なのが荷物の運搬なんだから」


 いくら強くてもダンジョン最深部まで数日かかるとして食事や武具の途中調達が無理な以上持って行くしかないのか。

確かにこれはかなり役に立つな。腕輪が見えないようにしとこう。


「ならダンジョン入る時は表向きは荷物を持っている風を装うようにしないと。あとどの位収納出来るのか試す必要もあるか。――そういえば何も入っていないみたいだったけど、盗賊達はこれの使い方が分からなかったのか? それとも所持者が変わると空間が変わる、とか?」


 実験として近くに合った石やら草やらを入れてルナに渡して見たが、ルナが所持しても石や草は取り出すことができた。空間は一つで共有となるみたいだ。盗賊達は使用方法が分からず宝の持ち腐れだったと結論付けた。

 容量の確認に手当たり次第岩を入れてみたが、空間が狭くなる様子はまるでなかった。一応全部出して、今後使いながら容量は確認することにする。


 暗器グローブは装着して腕を振ることで針や手裏剣のような物、短刀や鉄線などが出るようだ。俺には扱い切れないので転送決定。

 追跡の楔は十本組の棒手裏剣のような物で、本体となる手裏剣を持っているとその他の手裏剣の位置が分かるというものだった。

 試しにルナに持たせて隠れんぼしてみたが、目を瞑っていても見つけ出せるほどの性能だった。エルットは俺の位置が分かっていなかったようだが、これも使い方を理解していなかったのかもしれない。


「それなり使える物もあるけど、普通神具とか伝説の武器ってヤツはもっと格好良くて破格の性能じゃねぇのかな? こんな武器貰って異世界行く奴の気がしれないな」


 まぁ神様も渡せる神具がないとか、渡す物を初めに教えないとか言ってたから在庫ありったけ出して、最後の方は変な神具しかなかったのかね。


「ルナが聞いた神具の話はかなり凄いのがあったと思うけどね。ひと振りで山を消し飛ばすとか、――そう言えば人種は神具を宝具って呼んでた気がするわね。幾つかの宝具は一つで一軍にも勝るって言われて転生者を招き入れようって国があったと思うわ。最もすぐにダメになったけどね」


 宝具ねぇ。神具の方が上に思うんだが。まぁこの世界の人間には神具を鑑定できないなら神具かどうか分からんだろうけど。 

 最初の頃にエクスカリバーとかデュランダルとかが来ててそれは圧倒的な能力だったとか? だからそれらが宝具として有名になって後から来た性能が落ちる神具はちょっと普通の武器より性能が良い武器ぐらいの感覚なのかな。所有者以外は性能が落ちるって言うならそうなるのかな。


 それから神具の性能を確かめたが、山賊王の太刀は大剣ということ以外よく分からなかった。力の指輪と合わせれば俺でも大木を切り倒すことができるので、装備が整うまでは使おうと思う。

 力の指輪は岩を持ち上げたりしてみたが、特に体に異常が起こることはなかった。強さ的には推定五百キロはありそうな岩を何とか持ち上げることが出来たので、かなり使える。

 消去法で追跡の楔が三つ目の転送に決定した。


「それじゃルナ、この三個で頼む」

「了解。天送!」


 先ほどと同じく光に包まれた神具が消えるように無くなってしまった。

 それから数秒して俺を鑑定してみるとスキルが既に増えていた。


九条仁

人族LV8

使徒LV8

力の指輪(神)

空間の腕輪(神)

山賊王の太刀(神)

・神の使徒・神具鑑定・真実の瞳LV2・スキル鑑定LV1・夜目Lv1


「…………夜目レベル1が増えてるけど、夜目? 暗闇でも見える的な? ……まぁ便利なのか?」

レベル1じゃ大して効果はないだろうけど。レベルが上がったら夜でも昼間みたいに見えるとか? ……吸血鬼?


「便利なのかなぁ。うーん、もうちょっとこう、このスキルならこんな使い方が! って感じのが良かったわね」


これまでのスキルが特殊だっただけに夜目が平凡に見えてしますからな。でも、ダンジョン内でなら役に立つんじゃないか。


「……ま、実際に効果を確認してからだな。それじゃ気を取り直して出発とするか。――ここから俺の異世界生活が始まる!」

「もう始まってたと思うけどね。……それじゃ出発進行~!」


 俺の肩に座ったルナが元気よく声を出した。ここから俺の冒険が始まるのだ!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る