第7話 再びピンチッ! ……?
「ははは! ハーフ共がこんなにいやがるぜ! 今日は大漁だぜ!」
「無駄口叩くな。向こうもやる気みたいだぞ」
「貴方達どうやってこの聖域に入ったの!? まさか結界を破壊したっていうの」
声の方に視線を向けるとミオさんと獣人っぽい人や黒い小さな翼を生やした人などこの村の住人らしき人たちが先ほどの盗賊十人と対峙していた。
ルナの話ではこの村には許可のある者以外には見ることも入ることも出来ないように結界が張られているらしい。
その結界を張り聖域としたのがルナ達精霊の力だという。
精霊であるルナの許可があったから俺たちはたどり着き入ることができたのだが。
「ここに変な服を着た男が来たはずだ。いや、いるはずだ。その男を差し出せば今日は見逃してやるぞ」
「おいおい、エルットそりゃねぇーぜ! こんだけハーフがいるんだ、捕まえて売っぱらおうぜ!」
「お前は黙れ。それとも黙らせて欲しいのか」
「うッ、すまねぇ」
家の脇から様子を見ているとヴァオが怯えた様子でエルットに謝罪して後ろへ下がった。さっきは見れなかったから改めて鑑定を使ってみる。
エルット・ゾア
暗殺者Lv12
追跡の楔(神)
暗器グローブ(神)
忍びの帷子(神)
レベルは低いけど神具三つ装備かよ。コイツら神具持ちすぎだろ。
……コイツらまさかこの森で転生者が現れるのを待っているのか?
「ルナ転生者はこの森からスタートなのか?」
「転生者の出現地を聞く限り恐らくだけど、世界の数箇所に出現地点があってあとはランダムだと思うわ。――なるほどね、この森で転生者を待って現れたまだ戦いに慣れていない転生者を殺して神具を奪っていたのね。ジンが転生者だと思って神具の回収にきたわけね」
追跡の楔がさっきの棒手裏剣ってわけか。武器替わりに持って来てるけど俺の居場所までは分からないのか? ここまで追いかけて来たのなら大まかな位置しか分からないってことか。
……え、襲撃されたの俺せい? いやいや、悪いのは襲撃者でしょ。
暗器グローブって無数の暗器が出てくるとかやめてくれよ。忍びの帷子は防御だよな。着込んでいるってことか。
「そこの出来損ないエルフ、貴様がここのまとめ役だな? 村人まとめて売り払われるのとお前達に関係ない人間を一人差し出すのとどっちを選ぶつもりだ?」
「どちらも選びません。貴方達を追い払うそれだけです! 切り裂けエアーカッター! ……えっ! 発動しない!?」
ミオさんが盗賊に腕を振りかぶりったが、魔法は発動しなかった。
「まだ魔力回復していないでしょうね。あの子がこの村で一番強いみたいだからこれはまずいわね」
「冷静に分析している場合か! 助けに行くぞ!」
「ダメよ。今のジンじゃ一撃で死んでしまう可能性もあるんだから。魔力も回復していないからルナも大して戦えないわ」
そうこう言っている間にミオさん達村人と盗賊が剣を抜き戦いが始まってしまった。
「武器はないのか、ってあれミサさんが「あの子のところに行くわよジン」」
盗賊達の左側から後ろに回り込もうとしているミサさんに気付くとルナは一目散に飛んで行った。
「ちょ、まて、お前は見えないからいいけど俺は隠れて行かないといけないんだぞ!」
「(ジン、早く! この子に魔法を使う為に魔力を貸すように言いなさい。それからこの子の体に触れるの。それでどうにかするわ)」
隠れながらどうにかミサさんの元にたどり着く俺にルナはミサさんに気付かれないように小声で説明してきた。
「え、どうしてこんなところにいるんですか! あの人たちは貴方を狙っているんですよ! 早くどこかに隠れて」
俺に気付いたミサさんが慌てて俺に近づいてくる。もうルナに確認する暇はないな。
「ミサさん。俺の魔法ならアイツ等を倒せるかも知れないんです」
「え? 貴方魔法使いなの? そのわりには魔力をあまり感じないけど」
「えっと、故あって魔力が封じてあって、その、俺のスキルで他人の魔力を代用できるんです。ミサさんの魔力を貸して欲しいんです」
「私の魔力を? そんなことが? でも。……いえ分かりました。私の魔法じゃ、どの道彼らは倒せません。お願いします」
ミサさんは少し考えてから俺に手を差し出してきた。俺はその手を握り、盗賊達に逆の手を掲げる。
「(ルナ、これでいいのか?)」
「(ええ、中級程度なら無理すれば)」
俺の首に抱きつき俺の手に合わせるように手を伸ばし盗賊達に標準を合わせる。
「(ここからじゃ難しいわね。ジン、周りの子達を離れさせて、アイツ等が一まとめになる位置に行くわよ。魔法に必要な魔力は吸収したからその子はもういいわ。表に出て注意を集めましょう)」
「(了解)ミサさん。魔力は頂きました。あとは任せてください」
「え? あ、力が。まさかマジックドレイン?」
ミサさんの声を後ろに颯爽と盗賊達の前に出る。俺に気付いて戦いが一時中断した。
「ほう。自分から出てくるとはいい度胸だな」
「なんで出てきたの! 早く下がりなさい!」
「ミオさん、ここは俺に任せてください」
警戒しながら俺に声をかけるミオさんの傍に向かいながら盗賊達を正面に全員捉えれる場所に移動する。
ルナはその間もいつでも発動できるように手を盗賊達に向けたまま魔法を待機していた。
「目くらましの魔法が使える程度で大きく出たな。貴様も何かいい武器を持っているんだろうが、俺たちには通じないぜ。大人しく渡すなら見逃してやってもいい」
「おいエルット! このガキ見逃すのか! コイルがやられたんだぞ! 見逃せば俺たちは笑いものだ!」
「うるさい。あんな雑魚気にするだけ無駄だ。さぁどうする? このまま戦っても勝てないと分かっているだろう?」
「どうだろうな。俺にはとって「(ノア・グラビトン)」……おきが」
俺とエルットが話ている最中に、不意打ちのルナの魔法が発動した。
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