君の画鋲

シロ

第1話 

 今年もセミの鳴き声で起き上がる日が来た。もうクーラーなしではどんな節約家も生きてけないんじゃないだろうか。今じゃ明日地球が燃えると言われても変じゃないとまで思える。なんて、また大げさだと言われるから口にはしないけど。


「ミャーオ」


ベランダの外を眺めながらシャツのボタンを留めていたら、エダマメが鳴いた。

ゴハン、忘れてた。

「ゴメンね、今日はちょっとサービスしとくから」

餌袋を開けるともう残り少なくなっていた。今日の帰り道でエダマメの餌を買うことを頭の片隅に入れて慌てて靴を履き、家を出た。

走ると汗が止まらなくなるから、今日も自転車を漕いで風を味方に駅にむかう。

今日も変わらず生ぬるい風だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る