パラリンピックの意義

カニ太郎

第1話パラリンピックの意義

《パラリンピックの意義》


いま日本の障害者数は、

身体障害者366.3万人、

知的障害者54.7万人、

精神障害者320.1万人、

およそ国民の6%が何らかの障害を有している。


多くの陸上系パラアスリートはドイツのオットーホック製か

アイスランドのオズール製のスポーツ義足を装着している。


しかし道具がよくなったからといって記録は簡単には伸びない。

ソケットの方が重要なんだ。

ソケットというのは義足義手の装着部分のことだ

私は篠田未来、パラリンピックの100m走の女子日本代表

そして世界記録保持者の金メダリストだ。

私の場合、パラリンピックで勝てたのはソケットが格段にフィットしていたからだと思っている、私の義足を作ってくれたのは大田区の町工場だった、そこの職人さん達のおかげで私は海外の並みいる強豪選手に勝てたのだと思っている。


義足ソケットは生足との装着部分のもっともデリケートな部分の器具で

義足の最重要パーツだ。

これの調整はミクロ単位で難しく、少しでもフィットしてないと、どんなスーパーアスリートでも記録は出せない。


かつてガラス繊維だったソケットは、

ポリカーボネートやカーボンファイバーに代わり、昔に比べ格段に進歩している、そこには数ミクロン単位で現代の最先端技術が詰まっているのだ。


そしてそのデーターは個人によってすべて違い、優秀なパラアスリートのデーターは義肢性能を飛躍的に進歩させる可能性がある。


私のソケットは純日本製で古くからある大田区の町工場が独自技術で作りあげてくれた、そしてその技術は今や天文学的な金額で取引される技術となっていた

多くの投資マネーがこの分野に流れ込んでいるのだ、医療、宇宙、労働、etc.

将来へ多くの分野への応用が可能だからだ。


あるウォール街の投資ストラテジストは控えめに見積もっても数千億ドルと言っている、今や世界中の企業が人の能力を補うテクノロジーを活用して、安全性と能力を高めようとしている。


その中でも今投資家が列をなしているのはバネとクラッチを使って電源を不要にした軽量の下腿装着装置の商品化だそうだ。


このふくらはぎの筋肉やアキレス腱と連動して歩行中の代謝エネルギー消費を抑制するこの装置は、米国ノースカロライナ州立大学やカーネギーメロン大学などの大学のエンジニアが開発した技術だ。


そしてこの財団が私のスポンサーになりたいと1億ドルのオファーを提示してきた。

そのオファーは魅力的だったが、私は丁重にお断りした、私のために大田区の職人さんが作ってくれた技術を海外の企業に売りたくはなかったからだ。


またドイツのネッカーズルムにあるアウディ社の新しい工場では、

組立ラインで働く作業員がスイスのNoonee社のパワー・アシスト・スーツを身に付けて働いている。

このウェアラブル装置を装着すると、作業員の身体にかかる負荷をさまざまな作業で肩代わりしてくれるため、背中や脚の疲労・負傷リスクを軽減できまるそうだ。


この企業も私に専属契約を求めてきた。

提示額が2億ドルに跳ね上がっていた

しかし私はこのスポンサー契約も同じ理由で丁重にお断りした。


私のパラリンピックでの圧倒的な勝利に、既存欧州のメーカーは震え上がったようだ、日本メーカーは国家レベルで私の海外流出を阻止しようとしてくれている、しかし、私の望みは・・・そうパラリンピックの意義にある。


私はパラリンピックの理念にそって協力する。

《パラリンピックは、第二次世界大戦で負傷した兵士の治療にスポーツを用いたことが起源と言われている》


そうパラリンピックの技術は軍人に寄与されるべきだ。


私は今ある大企業の前に立っている。


ロッキード・マーティン社


次世代兵器のパワードスーツを開発するために

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パラリンピックの意義 カニ太郎 @kanitaroufx

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