34話 キプロス星の日常4
感覚的に30分ほど経過し服もすっかり乾いたので立ち上がる、大粒の砂は服から簡単に剥がれ落ちた、さらに手で払うと体重で押し付けられた布に食い込んだ砂も簡単に落ちていく。
同時に麻衣も立ち上がり服についた砂を手で払って「まだ髪の毛が湿ってるよー」と言いながら手で髪を整えて始めた。
「よし麻衣、だいぶ空を飛ぶのに慣れてだろう、ここで次のステージに進んでみよう!
次は何がしたい?」
麻衣はこちらに向き左手を腰にあて右拳を俺に向けた、そして人差し指を突き出し大きく息を吸い大声で叫んだ。
「電磁誘導破壊スペシャル衝撃波ぁぁぁー!!!」
「だから俺を的にするなって! その姿勢はドド●波じゃないのか?」
麻衣は俺に向いている人差し指を戻しそのまま口元に隠す、そして俺を見ながら何やら怪しい笑顔をひねり出した。
「くっくっくっ、私は気づいたのだよぉ! この出来事は自伝にするべき案件だと言うことを! つまり、自伝を書く時に著作権的な問題が発生しない様にしよう! と言うことです!」
「は? 自伝だと? ま・・・まぁ、がんばれよ」
この案件は掘り下げて聞かないでおくか、そのうち忘れるだろう。
しかしネーミングセンスが悪い、しかも長いから実戦だと簡単に反撃を食らうだろう。
・・・・いや、そもそも実戦で技の名前は叫ばないな。
怪しい笑顔が消え可愛い笑顔に切り替えた麻衣は話し始める。
「あっ、この前の温泉掘った時に光る球出したでしょ? あれやりたいでーす」
「あれか・・・いいけど、俺に向かって打つなよ? もし打ったらお仕置きするからな?
それ以前に人に向かって打つなよ、普通に死んでしまうからな?」
「くっくっくっ、まかせなさーい! 大丈夫、銃は人に向けちゃダメって習ってるからね!」
プラズマ弾は難易度がかなり高いのだが殺傷能力も高いし、麻衣にできるかな?
とりあえず教えるだけ教えて見るか、出来なかったら燃費は悪いが力を開放するだけのエネルギー弾に切り替えよう。
「では手を広げ素早く動かしてみろ、手に何かの抵抗を感じるはずだ、それが空気だ!」
「私、そこまで馬鹿じゃないんだけど・・・」
麻衣は眉間にしわを寄せて口をとがらせ不満そうだ、さすがに空気の下りは要らなかったな、そのまま海の方を向き右手を向ける。
「では実演しながら解説するから、まず手の上にある空気を力で球状に包み込む、そして中にある分子1個1個を制御し極めて細かい振動をさせる。
そうすると球状に囲んでいる部分の温度が上昇していく、それを続けていくと分子結合が解けさらに電子と陽子がバラバラになる、それがプラズマ状態だ。
ちなみに温度が5000度を軽く越えるから危険だぞ、それを力でコントロールして打ち出す」
俺の右手に白に近い黄色の発光球が出来上がった、そのまま海に向かって打ち出した。
海面に消えたプラズマ弾は周辺の水温を一瞬に上昇させる、体積が急激に膨張した水が爆発音と共に周辺の水を地上に押し上げ高い水柱が上がった。
「ちなみに形を変えたり回転を加えたりすると大地を貫通させることができる、温泉を掘ったのはこれな」
「一度にやること多いんだけど・・・」
麻衣は自身の手を見ながら手を力ませている、右手の指が震えているが何も起きない。
「まぁ、練習してくれ」
「もっと、簡単なやつを! 気の力を集めるってやつを」
「気ではないが、空を飛ぶような感覚で力の流れを手に持っていくんだ、そして手から出し丸める感じだな。まずはこれで慣れてからだな」
俺の右手に黄色に光る球体が出現した、同じように麻衣の手にも光る弾が出現する、そのまま「うりゃぁぁ」の掛け声とともにその光る弾を海に向かって投げる、光る弾はそのまま海の中に消えた。
「爆発しないし・・・地味だ」
「思考がかなり危険だぞ、あと野球投げじゃなく弾自体をコントールして飛ばすんだよ」
「よーし、もっと打っちゃうよー!」
と麻衣は空を飛び沖の方に向かっていった、見ていると、うりゃ、とりゃぁ、と言いながら光る弾をそこら中にまき散らしている。
「うっ」と言う力ない声と共に麻衣が落下を始める、俺は麻衣の体を力で受け止めこちらに移動させ麻衣を砂浜に寝かせた。
「全身がだるい」
「使い過ぎだな、あれは燃費が悪いから麻衣なら3分も持たないぞ」
俺は麻衣の太ももに手を置く「ひやぁぁー」と言う麻衣の悲鳴と共にテレポートしその場から姿を消した。
……
…
俺達は先日作った温泉に姿を現した。
「またするのかと、絶倫王かと・・・」
寝ていた麻衣は上半身を起こし俺を見る、そのまま麻衣にタオルを投げる。
「ほれタオルだ、毎日お湯につからないと気が済まないのでな」
麻衣はモーと言いながら素直に脱ぎ温泉に入っていいく「はぁぁぁ~癒える…」と斜め上の方をぼんやり眺めている。
「ここで寝るなよ?」
麻衣に声をかけるが、いつの間にか目を閉じ寝ているようだ。
しばらく見ていたが動く様子がない、銀色の球体に触れリヴァララに話しける。
「リヴァララ、麻衣の裸体を録画しておいてくれ」
『了解しました、データはスマホと言うものに転送しておきますか?』
「そうだな、そうしてくれ」
「こらあぁぁぁぁ、絶対だめぇー、リヴァララちゃん中止よー、中止! データも破棄!」
麻衣は目を見開き、太ももを胸につけ腕を足に回しがっちりガード姿勢になった。
「っち、起きてたのか・・・残念」
『録画を中止しました、データは破棄します』
「はぁ、はぁ、休息すらできない」
麻衣は俺を見ながら聞こえない音量でなにやらブツブツ言っている。
何やら色々言いたそうな麻衣を放置し、リヴァララと向き合う。
「リヴァララ、さっきスマホにデータを送ると言っていたが、解析したのか?」
『防犯上皆様の持ち物は調査済みです、ご了承ください』
「どうやって解析した?」
『ナノマシンを内部に侵入させ物理的に解析しております』
そいつは素晴らしいな、リヴァララを地球に持っていけだろうか? マイナンバーシステムに侵入させれば戸籍問題も解決しそうだ。その後は・・・ふふふっ色々出来そうだぞな。
異様な視線が気になり麻衣を見る。
「なにかの企みを感じる、悪いことを考えてる。
プライバシーの保護を求めます! 私のスマホに進入禁止!」
「やんねーよ、どうせお前のスマホは乙女ゲーのデータしか入ってないだろ?」
「な…なぜ、知ってる…私のロメオちゃんが汚される!」
案の定麻衣のスマホは乙女ゲームでいっぱいのようだ。ロメオちゃんが気になるが聞かない方がいいだろう、後悔しそうだしな。
「そろそろ出るぞ、部屋に帰るぞ」
水分をふき取り服を着る、麻衣はタオルで隠しながら器用に服を着ていく。
何時ものように麻衣のアゴをつかみテレポートで部屋に戻った、麻衣は部屋につくなりベットに飛び込みそのまま動かなくなる。
俺も椅子に座りながらゆったりとしていると、自然に目が閉じ寝てしまった。
……
…
「随分お疲れのようね?」
瑠偉の声で目が覚める、どうやら椅子に座ったまま寝てしまったようだ。
「よう瑠偉、成果は?」と目を擦りながら言う。
「ありません!」と棘のある口調で兼次を睨みつけてきた。
「何怒ってるの?」
「怒ってません」
瑠偉はそのままシャワー室に向かって歩いていき入っていった。
そのままシャワー室をぼんやり眺めていると突然横からと美憂の声がした。
「織田さん、何かあったの?」
「うぉ、居たのか美憂」
「さっきから居るけど・・・なにか織田さんと麻衣の様子が何か変わった気がする」
美憂は俺を疑いの目で見てきた、あの関係を見抜かれた? 恐ろしいな女の感は、これからはごく自然に振る舞わないといけないな。
「慣れない環境で気が滅入っているんじゃないかな? いずれ落ち着くんじゃないかな?」
「それならいいんだけど・・・」
美憂の表情は何かを疑っているみたいだ、そのまま美憂はベットに行き腰かけた。
しばらくすると、食事が運ばれていきて何気ない会話で盛り上がり今日がやっと終わった。
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