RUDE BOYとUNREAL GIRL
あみどににすとれーた
第1話 MUJI-ROCKでFALLIN' LOVE
誰かが回す洗濯機と室内の冷蔵庫のノイズをBGMに、死にそうな顔でスマホを見ている。
芸能ゴシップ、訃報、政治問題。面白くもないニュースをいったい何時間眺めていたんだろう。でも、明日から土日だ。予定もないし、ゆっくり寝よう。
昼、ショッピングモールに出かけた。
僕は平日、誰かの買い物を代行し家まで届ける仕事をしている。いわゆる”ショッピングカート”、現代カーストの底辺だ。そんな僕の唯一の楽しみは、セックス・ピストルズを音漏れしないギリギリの爆音で鳴らしながら、無印良品で物色することだ。
今日もいつものように無印良品を物色していると、短髪の女がいた。よく見るとタトゥーも入っている。なんだこの人はと少し不安になりながらも、どこか興味を捨てきれず脇目で見てしまい、何度か目があって気まずくなったりもした。
醤油差しを手に取って感じ入っていると、隣に彼女がいることに気がついた。彼女はこちらを直視していた。慌ててイヤホンを外し、僕が何かを言おうとすると、それを彼女の言葉が遮った。
「何見てんだ気持ち悪い」
そう言い残し、踵を返してどこかへ行ってしまった。
呆気にとられながらも、僕の鼓動は高鳴っていた。
やばい、惚れたかもしれん。
RUDE BOYとUNREAL GIRL あみどににすとれーた @amidnistrator
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