生活
@assembly
第1話 野火
庭に停められたトラックの荷台へ寝転がって『野火』を読んでいた。大岡昇平を読むのは初めてだった。気にはなっていたのだが、どうにも機会を逃していたのである。
敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本体を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的作品である。
と裏表紙にはある。
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