5話

* * *


あっという間に放課後になり、黒炎君と帰ろうとしていた、その時



「あの....黒炎くん、今お時間よろしいですか?」



ポニーテールの女の子が、黒炎君に声をかけた。



「あ、あー....俺、今から友達と帰るんだけど」



「黒炎君、行ってきなよ! せっかく呼ばれてるんだし!」



「朱里....お前が言うなら行ってくる。教室で待っててくれないか?」



「うん、わかった!」



また告白か~と思いながら、教室へ向かう私。


恋敵の協力? まさか、そんなことをするわけがない。


鈍感な黒炎君は気付いてないだろうけど、あの女の子、私のことすごーくきつい目で睨んでたんだよ? しかも、最後は殺気なんか送っちゃって。

あの場にいたら怖くてたまんないよ。



恋する女子って怖いなぁ~、あれ私も恋してるはずなんだけど....。


などと心のなかで呟いて黒炎くんを待っていた。



「....おそい....」



20分近く待ったのに一向に訪れる気配がない。



「待てない!」



そういって私は黒炎君を探しに行くことにした。



告白する場所はわかんない。けど、乙女の勘を信じる!

告白する場所といえば大抵決まってる。

非常階段の下、もしくは誰もいない教室。


よし!まずは非常階段の下だ。



「....いた....」



木の影に隠れながらこっそりと見る私....あきらかに挙動不審です。



「ねぇ、好きな人って誰なの?」



「だから....教えられないって何度も言ってるだろ」



二人は喧嘩してるみたい。

というか、女の子のほうが怖いんですけど....普通そこまで聞く?



「私の知ってる人? 名前教えてくれたら諦めるから」



「....はぁ~....。あのな、人には言えないことの一つや二つあるんだ。

それにこれを言ったら、君が他の人に言うってこともありうるだろ? だからそんな簡単に言えない」



黒炎くんは深いため息をついてそう言った。

それに黒炎君の言ってることは正論だった。



「は? なに、それ。私のこと疑うって言うの?ねぇ、早く教えて。

あぁ、もしかして好きな人って私だったりする? 

そうだよね、さっきフッタのは冗談だよね....。

だって、あなたの好きなアカリちゃんと同じポニーテールなんだよ?」

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