4話

それからギリギリセーフで教室に駆け込んだ私たち。


久しぶりに朝から全力で走ったから、なんだか眠気が....私はそのまま爆睡してしまった。



「....里、朱里。起きろ」



「う~ん....」



ペチペチと私の頬を叩く男の子が目の前に....って、



「こ、黒炎くん!?」



「おはよ、居眠り姫。もう午前の授業終わったぞ」



「う、うそ....」



ほんの少し寝ていたと思ったのに、まさか午前の授業寝てるなんて....やっぱり朝方までのゲームが思ったよりきてる。しかも、朝からは走るはめになるし。



「そりゃあもう気持ち良く寝てたぞ。ヨダレが出るくらいに」



「え、ヨダレ!?」



私は咄嗟に口のまわりを手鏡で確認した。



「嘘、冗談だよ、冗談」



「もうバカッ」



「悪い悪い。それよりさ、昼飯屋上で食わね?」



「食べる! 私、お弁当作ってきてるの!」



「へぇ、お前の手作りなんてはじめて食うなー。

それでお前の自信作の弁当ってのはどれだ?」



「えっとね・・・あ・・・」



鞄の中身を必死に探すも、お弁当箱は一向に見つからない。



「ん、どうしたんだ?」



やばい、台所に忘れてきちゃってる。

朝はアカリちゃんになるために準備してて、しかも朝方まで研究してたから。

うー、せっかく黒炎君に食べてもらおうって思ってたのに・・・



「う、ううん。なんでもない」



「弁当忘れたんだろ? ほら、購買行くぞ」



「なんで私が忘れたって・・・っていうか、怒ってないの?」



「は?なんで怒るんだよ。誰にだって失敗の一つや二つあるだろ。

それに弁当忘れましたって顔に書いてある」



「え、顔に?」



私はとっさに自分の顔を再び確認する。



「書いてないよ?」



「ぷっ・・・あははは。ホント、おもしれー奴。お前見てたら飽きない」



「えー、なにそれ」



「んなことより購買行くぞ、パンが売れ切れちまう」



「うん!」



やっぱり黒炎君って優しいな。普段はアカリちゃんのことしか考えてないのに。

これって、少しは私のこと見てくれてるってことなのかな?

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