青春を捨てた僕と拾った彼女

@Afterfall

第1話 過去

中学までは多分青春をしていた。

一般の青春と言えば部活、学業、クラスメイトとの交流、そして友人と親しく遊ぶこと。

俺にとって中学の青春と言えば部活だった。

小学校から好きでやっていたテニスは中学も部活に入りながら継続して行い、厳しい練習に耐えながらもとても充実した日々を送っていた。

仲間と競い合い、高め合う。

自分が試合に出て勝つためにも仲間であるが故に練習の時は倒すべき相手と見なして練習を誰よりもやった。

自分で言うなもなんだが俺には才能があった。

いや、才能と呼ぶには遠く及ばないかもしれないが他の仲間とは違った観点で練習をしていたからかいつしかそう思うようになっていた。

けど、同時に怪我をする才能もあったようだ。

自分の身体のケアを怠って常に身体を動かしていたせいか自分の認知の外で身体は徐々に壊れていた。

そしてとうとう、その限界が近づいた。

「…………足首が痛い」

市大会決勝戦。異変はそこで起こった。

ゲームカウント5-4。

ここで1ゲーム取れれば試合に勝てる。

なのに一歩歩く度に足は悲鳴をあげるかのように俺の脳に最終警告を告げるかのように痛む。

「構わない、あと四本でどうにかなる」

幸い連戦のおかげで身体中にアドレナリンが巡っている。鎮痛剤代わりにはなるがただの気の持ちようにしか過ぎない。

「焦るな、一本ずつ確実に……………」

サーブ権はこちらにある。

フラットサーブでサービスラインの端をワイドに狙ってノータッチサービスエース。これを狙う。

「はあっ!」

声を出して痛みから少しでも気が逸れるように意識を紛らわす。

気合いの入ったサービスが狙い通りに入る。

「15-0!」

「よし!」

ガッツポーズを決めて強く自信を持つ。

ここからは心理戦だ。

ワイドに一本入れば警戒して外を締める筈。

ならあえて真正面に速いフラットサーブを入れてチャンスボールで決めに行く。

自分の最高打点にトスを上げてラケットを振る。

またしても良い当たりが出たおかげで相手の真正面への少し左側にいく。

タイミングがずれたためバックハンドで当てるように返すが少し浅めの浮いたボールがコートに返る。

それを狙っていた俺はサービスと同時にコート内に詰めて、打点の位置を判断してステップする。

左足で踏み込んだ途端、かつてない痛みで一瞬怯みかけるも気にせずラケットをスイングしてボールを決めに行く。

「30-0!」

『おおー、すげえ』

『上手く読んでいたか』

ベンチに座る監督も満足そうに言葉を発する。

が、同時に俺の異変にも気づいていた。

「あいつ、足でも痛めているのか?」

その問いかけをベンチに座る部の仲間にする。

「そう言えば最近左足がおかしいとは言ってまたけど…………」

「………………持つか」

安堵した俺は自身のサイドラインに戻る。

だが、足の限界はとうに迎えていた。

立ったままでも痛い。

疲れと痛みが精神をより不安定にさせる。

「踏ん張れ」

俺は力強く歯を噛み締めてあとの二本人に望んだ。

それから俺は狙い通り二本を決めて優勝した。

大会が終わり閉会式の時にはもう既に俺の足は伊丹で立つことすら出来なかった。

表彰式が終わった後にすぐに市内の病院へと向かった。

診察を受けたあと、医師からは披露骨折だと言われた。全治2ヶ月のギブス付き。

それも最悪な事に無理して気づかずにプレーしていたせいか俺は治った後も絶えなまれない違和感とその後の怪我の続出でスポーツの道を閉ざす事になった。

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