存在

勝利だギューちゃん

第1話

「君はだあれ?」

「わからない?」

「・・・うん・・・」

「いつも、そばにいるのに・・・」

「えっ?」

「わからない?」

「うん・・・君は・・・」

「私・・・私は・・・」


子供の頃は、いつも同じ相手と遊んでいた。

派閥が出来ていた。


しかし、人は変わる・・・

良くも、悪くも・・・

そうなれば、それまで親しかった人とも、馬が合わなくなる。

そして、疎遠になる。


そして、別の人との派閥が出来る。


人はそれを、繰り返していく・・・

それが成長であり、また退化でもある・・・


「私は、君の理想像が具現化した存在?」

「具現化?」

「君は、いつでも1人でいる。いわゆるぼっち・・・

だから、私という存在を創りだした・・・

なので、私はいつも、君のそばにいる・・・」

「そばに?」

「それが、君の願い・・・」


最初は、仲が良くなかった・・・

得てして、そういう相手のほうが、真の友となり、

終生の友となる・・・


そういうケースが良くある・・・

それが、あるべき姿・・・


そして・・・


「でも・・・」

「でも、何?」

「私のような人は、意外と多い。

君の近くにいるかもしれない・・・」

「いないよ・・・そんな人・・・」

「探してみた?」

「えっ」

「自分の足で、探してみた?」


言葉につまる・・・


昔、恋をしたこともあった・・・

しかし、もはやセピア色となった・・・

殆ど顔が思い出せないでいる・・・


そういうものかも、知れない・・・


「大丈夫だから・・・」

「何が?」

「君は、自分で思っている以上に、魅力的。」

「そんなことは・・・」

「その証拠に私を、生みだせた」

「君を?」

「うん。つまり君は、私のお父さんになる」

「お父さん?」


人はやがて親となり、子をもうける。

その子が、どう育つのかは、親次第・・・


「だから、探してみて・・・」

「何を?」

「青い鳥は、すぐ近くにいる・・・」

「もう、お別れなの?」

「私は、君が作りだした存在。なので、君が私を忘れない限り、別れないはないわ・・・」

「・・・そうか・・・」

「お父さん」

「何?」

「親孝行させてね。大好きだよ」


高校の卒業アルバムをめくってみた。

もう、見る事はないと、思っていた。


「あっ、この子だ」

仲の良かった子を見るけた。

「久しぶりに、手紙を書いてみよう」


ペンを握った・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

存在 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る