黒猫の気まぐれ遊戯

46クマ

第1話 新たな僕の始まり…


入学式前日・朝・15歳


実家の僕の部屋で目が覚めた。

死の世界で奇妙な黒猫の神様が言った通り、僕の体は高校生に戻っていた。


部屋の鏡で体のあちらこちらを触ったがやはり少し体が若返っていた。


身長は平均身長よりも少し低く、体は痩せており髪は少し長く黒髪。

どこにでもいる特徴のない高校時代の体だった。


その姿を鏡で見て嬉しい感情が体の中から溢れて来た。


僕は生き返れたのだと…



しばらくして目が覚めてきたので、机の上あらためてここまでの経緯をまとめた。


僕の名前は新垣光。


僕はどうしようもなくクズな人間だった。



でも最初の方はまだマシだったと思う。

というか真っ当な人間だった。


両親はどちらも教壇で児童相手に勉強を教える教師をやっていた。

母は僕を生んでからは、教師を辞めて僕を育てることに専念することにしたらしい。

だから子供の頃から母はスパルタ教育で僕を育てた。


小さい時から英会話、小学校に入学したら塾に通わされた。

そのおかげで小学校の頃までは優等生だった。

誰もが親と同じ先生になると思っていた。

僕もいずれはそうなるのだと思っていた。


だけど、中学校に入ってから僕の優等生というレッテルが剥がれっていった。


小学校ではなかった順位がつくテストの独特な緊張などが僕は苦手だったらしい。

緊張からかテストでは凡ミスなどをして成績が落ちていった。


評価が落ちて来た僕に親はさらにスパルタになった。

水泳部に入っていた僕は親に強制的に辞めさせられ、小学校から続けていた塾と家に家庭教師を新たに雇い勉強した。


そして3年になり希望進路は、母が熱心に僕に通わせようとした県内でもトップクラスの進学校だった。



必死に勉強したおかげか入学することはできたが、やはり高校に入ってから勉強についていくことが大変だった。


そして、高校まであのスパルタ教育を続けるなんて僕には耐えられず、母親に反抗して思わず母親に手を上げてしまった。

その時から僕と母の家族という関係が無くなった。

関係が壊れてからは僕と母は一切口をきかなくなった。


そこから母と気まずくなり勉強を放棄して祖母の家で暮らすようにした。

そこから僕は完全に勉強しなくなった。

当然成績はビリに近かった。

なんとか卒業はできたが、最底辺の評価だったので推薦で大学に行くこともできず、ランクを落として行こうとした大学も一般受験で落ちどこの大学にも就職もしなかった。


結局交通事故で死ぬまで、ボロいアパートで一人暮らしをしてコンビニのバイトをして細々と暮らしていた。




交通事故で死んだことになっているけど、実際僕はこんな僕に嫌気がさして自分から車に突っ込んで自殺したのかもしれい。


車に轢かれた時「ああ、ようやく終わるんだ」と言った自分の言葉を生き返った僕が覚えている。


そんな僕が一度は人生を辞めたくせになぜ生き返ったというと、それは小さな黒猫の神様とのゲームに勝利することができれば、人生をやり直せると言う報酬が貰えるという。



そんな現実ではありえないゲームをするため高校1年生に僕は体も時間も戻った。


そして明日からは僕の生き返りを賭けたゲームが始まる学校生活が始まるのであった。



*******************

アラガキ・過去の話 ・21歳


今日もバイトが終わり、廃棄の弁当を持ってボロアパートに向かう途中だった。


その日は明け方だった。

僕は夜勤でコンビニに働いていた。

ぼーっと何も考えないで家に向かっていた途中、車が僕の方に突っ込んできた。

僕は避けようと頭の中では考えていたが、

避けることはできなかった。

体が動かなかった。


「ああ、ようやく終わるんだ」


グシャ…




僕は人生に嫌気がさして車に轢かれ死んだ。

痛みはそんなに感じなかった。

体から血が出るたび人生が終わると言う独特な感覚に覆われた。






そして意識がなくなると僕の目の前に黒猫がいた。




「やあやあようこそ!死後の世界へ!」

黒猫が喋り出した。

そんなメルヘンチックなこと現実には起きないと思ったので僕は無事死ねたんだと思った。


少し安心した。

もしあのまま手術などが成功して生き返ったら、僕はまたあの希望のない人生に戻らないといけないと思ったからだ。


あたりは周りが黒く少し霧がかかっていた。


「ニャタシは猫だけど神様だよ!

さぁ突然なんだけど選んでくれるかい?君の場合は特に犯罪などをしてないから、このまま生きかえりの順番を待つまで退屈な天国で待つか、ニャタシのゲームのプレイヤーになって勝利して順番無視で人生をやり直せるどっちを選ぶ??」




「ゲームに参加するよ」

迷うことなく僕はそのゲームに参加することにした。

人生をやり直せるならこのままやり直したいし、別に負けても天国で退屈な生活をしてもいいと考えていた。

少々人生というものに僕は疲れていたからね。



「いいねいいね!!君なら参加してくれると思ったよー!」

自称神様の黒猫はノリノリだった。



黒猫の神様に質問した。

「なんでゲームのなんてするだい?」

黒猫は答えてくれた。

「暇つぶしだよー!」

こいつは何をいっているんだと少し殺意が湧いた。

僕たち人間の命をなんだと思っているだと思った。

「天国ってマジで暇なんだよー、ゲームもないしただただ寝てたりするだけ、お腹も空かないし、恋愛感情もなくなる、マジで超暇なんだよー」


「だから、生き返りをかけて必死に勝負をしてもらってその生活をニャタシは見て楽しむ!君は勝てば生きかえり!どちらもwin-winだね!」


そうですかと答えゲームの話に戻った。《《》》


「じゃあとりあえず前の人生で改ざんしたいことを1つだけ言ってくれ!それをニャタシの力で改ざんしよう!」


「なんで改ざんしてくれるの?」


「だってそのままの状態で生き返らせても前世みたいな生活してても見てて楽しくないし、また自殺されたら困るよ!

生き返らすのもなかなか力使うんだからね!」

黒猫は大変なんだぞとジェスチャー付きで体全体を使って現していた。


「なんでもいいの?」

「無理なものは無理っていう!」


とりあえず一番変えて欲しかったものを言ってみた。

「じゃあ母親の性格を僕が望んだ優しいものにしてほしい」


「それぐらいなら改ざんしたあげよう」

簡単に改ざんしてくれた。

もっと違うのにすればよかったかなと思ったが、母の性格が変わるだけで僕の人生は相当変わるだろうと、生きていた時から思っていたことなので、まぁいいやとそのまま改ざんするものは変えなかった。



「じゃあルールは前日に詳しく説明するとして、ゲームの主旨だけいうよ!

このゲームは君以外にも、もう一人復活させる。そしてそのもう一人よりも先にその人を当てれば君の勝ちだ!お互い年は高校1年生で同じクラスで期間は1年だ!頑張ってくれたまえ」


黒猫の神様は僕に触れ僕は意識がなくなった…



そして僕は目が覚めたら高校1年生に戻って生き返った。



*******************

入学式前日・夜・15歳






高校一年生の姿に戻ったその夜、僕の前に僕をゲームのプレイヤーにした黒猫の神様が僕の部屋に来た。


「やあやあ、元気にしてるかーい?アラガキ君?」

猫が喋っているが、僕以外の人にはニャーニャー鳴いてるようにしか聞こえないらしい。



「どうだい?高校生の体はあのバイト三昧でたるんだ体と全然違って動きやすくないかい?」


「まあ、動きやすいけどそれを言いに来たわけじゃないだろ?」


まぁねと黒猫は言った。


「さあさあ、明日から始まるゲームのルールの確認だよー!!」

楽しそうに黒猫は言った。


「1.君が報酬をもらうには君と同じように生き返った人間をニャタシに言う。

解答は2回しかできない。それに失敗したら君の負けだ。どちらも当たらなかったらまぁどちらも負けだねー


2.一ヶ月ごとにニャタシが出すお題をクリアできれば生き返ったもう一人の情報を1つ教えてあげよう!」


紙が渡された。そこには情報の質問の内容が書いてあった。


①性別

②好きな食べ物

③嫌いな食べ物

④得意教科

⑤苦手教科

⑥家の形式. 一軒家とかマンションとか判別可能

⑦その人の死んだ原因(過去の話)

⑧その人の大切な物

⑨その人の改ざんしたもの

⑩???


⑩番の???のことを聞いたら、全部の質問を聞くことができたら⑩の質問の内容がわかるらしい。


⑨の改ざんしたものと言うのは黒猫がこのゲームを始めるときにひとつだけ僕に変えて欲しいものをひとつだけ頼むことができると言うものだった。


そして僕が改ざんしたのは母親の性格にした。

正直本当に変えられているか不安になっていたが、リビングに朝ごはんを食べに行くと僕が今まで憧れていた今までと違いとても優しい母親がいた。


紙の内容を僕が確認していると、退屈していたのか黒猫が喋り出した。


「ルール説明に戻るよー!

3.ニャタシの存在やこのゲームのことを他言した場合も負けだよー、まぁ信じてもらえないだろうけど〜笑笑


4.このゲームはリタイア禁止だからヨロシク笑笑」


リタイアなんてするわけないだろうと内心思った。


「5.犯罪などもしたら失格ー!

生き返ったからって犯罪行為したら神様のニャタシが天罰下すからねー!


6.最後にこの生きかえりの期間は1年!

勝てばこのまま高校生活を継続!そして君の望みを可能な限り叶えたあげよう!

さあニャタシを楽しまさせてくれニャ!」




黒猫は窓から出て行った。


とても綺麗な夜だった。






僕は必ずこのゲームに勝ち僕が望む人生にするため生きかえると決意した。




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